2019年を振り返ってみました!



一年を通して本当に多かったこの話題!
2019年最初のコラムはストルバイト結石について書きました。そして2019年最後のコラム(前回)もストルバイト結石とは書いていませんが、やはりストルバイト結石の原因となってしまう食生活について書きました。全く意識はしていませんでしたが結果的には、2019年の最初も最後もご飯の与え方についてでした。このコラムの題材は日頃のお客様からのお問い合わせやご質問などを参考にして書いています。それ程、この一年間はストルバイト結石についてのお問い合わせが多かったと言う事です。改めて何故ストルバイト結石が急増しているかを考えてみたいと思います。




ストルバイト結石急増の原因がこれ!
ストルバイト結石急増の大きな原因を考えるとふたつ思い浮かびます。ひとつは高たんぱく過ぎるフードの急増。高たんぱく過ぎるフードは確かに食いつきは良いです。お肉をたっぷり使用しているので。但し、たんぱく質を過剰に摂取すると尿のpHはアルカリ性に傾きやすくなり、ストルバイト結石の原因になります。また、お肉たっぷりなフードに肉類(茹でた鶏のササミや魚など)をトッピングして更に高たんぱくな食事に。更に更に間食のおやつやご褒美でたんぱく質である肉類を摂取。ストルバイト結石にならない方が不思議です。
そして、もうひとつの原因がペースト状のおやつです。あの有名なCMの。爆売れに便乗するかのように他社メーカーも類似品を発売。スーパーやホームセンターの犬猫用のおやつコーナーを覗くとぺースト状のおやつばっかりです。そのようなペースト状のおやつを与えだすと決まったようにフードの食いつきが悪くなります。味が濃くてペロペロ舐めるだけで食べられるのですから。その結果、食いつきの良い高たんぱくなフードに頼ったり、置きえさをしてダラダラ食べたり。くだらない商品を発売するメーカーもダメですが、一番の問題は飼い主様です。




可愛がると甘やかすは違いますよ!
フードの食いつきが悪くなった時は、原因はフードには無いと言う事を覚えておいてください。フードの食いつきが悪くなった原因はフード以外の食べ物です。もちろん体調不良でフードの食いつきが悪くなる場合もありますのでそれは例外です。体調が優れていてフードの食いつきが悪くなった際には、フードを変えるのでは無くフード以外の食生活を変えてください。フード以外の食生活を変えずにフードを変えても食いつきが良くなるのはフードを変えた初めだけです。それでまた別のフードに変えて初めだけ食べて徐々に残すようになり、また違うフードに変えてなんて事を繰り返していると次第にどのフードも食べなくなります。食べないからフードを変えるのは可愛がっているとは言えません。ただ単に甘やかしているだけです。フードを一種類に絞ってそれだけを与えていれば必ず食べます。当コラムでは幾度と無く書いていますが、ご飯は朝晩2回で食べなければお皿を下げる。そして間食は無し。それでも食べなければ病気です。すぐに動物病院で診察をお願いします。




2020年はペット業界全体でレベルアップを!
偉そうに聞こえるかと思いますが、日本のペット業界は残念ながらレベルが低いと感じています。もちろん私自身もそうですが、ペットショップの店員、繁殖者や獣医師もです。ストルバイト結石が、高たんぱくな食生活やダラダラ食いが原因と分かっている業界人がもっと多ければ、これ程までに日本の犬猫達がストルバイト結石に悩まされなくて済むはずです。「小型犬はダラダラ食べますからね~」や「猫は一度に沢山食べずにちょこちょこ食べますよ」なんて事を言われた飼い主様は「そうなんだ~。うちの子だけじゃ無いのね!」となります。小型犬や猫も正しく食生活を管理していれば一度にちゃんと食べます。特に獣医師は飼い主様からすると「先生」です。もう少し発言に責任を持って欲しいと思う2019年でした。皆様良いお年を。