勘違いしやすいので解説します!



まずは炭水化物と糖質の違いは?
愛犬や愛猫の体調や病状によっては、糖質制限が必要になる場合があります。その際に「炭水化物=糖質」とお思いの方は、たんぱく質と脂肪が多く、低炭水化物のフードをお選びになられる傾向があります。ですが、そのようなフードをお選びになられると、確かに糖質制限にはなっているのですが、たんぱく質の過剰摂取になってしまい、健康であった臓器までもが悲鳴を上げてしまう事があります。ですので、糖質制限が必要だからと言って炭水化物を極端に制限する事は体にとって良いとは言えません。特にここ数年は、「炭水化物は犬や猫には必要が無い!」と言った文言を使用したフードメーカーが多くなりました。でも少し言い方を変えると、「食物繊維は犬や猫には必要が無い!」と言っているのと同じです。何故かと言うと、食物繊維は炭水化物の一種だからです。そしてもう1種が糖質です。要は「炭水化物=食物繊維+糖質」と言う事です。ですので、糖質制限を行う必要がある場合は、炭水化物源となる食材によって、食物繊維と糖質の含有比率が異なりますので、食物繊維の含有率が高く、糖質の含有率が低い食材を使用したフードを選ぶようにお心掛けください。




粗繊維と食物繊維の違いは?
ドッグフードやキャットフードの成分値に記載がされている粗繊維と言う言葉。フードに含まれる食物繊維の量を調べたい時に見たりします。ですが、実は粗繊維として表示されている量は実際の食物繊維の量とは異なるのです。何故かと言うと、食物繊維には水に溶けない不溶性食物繊維と、水に溶ける水溶性食物繊維の2種類がありますが、粗繊維を調べる方法では水に溶けない不溶性食物繊維の量しか計測出来ません。ですので、フードに含まれている水に溶ける水溶性食物繊維の量は粗繊維の値には含まれていないのです。ですので、ドッグフードやキャットフードの中にはパッケージに記載されている粗繊維の値よりも多い食物繊維が含まれているとお考えください。また、動物病院で便秘の相談をした際に、「犬や猫は食物繊維の消化が苦手なので、摂取すると便秘になりやすい。便秘が気になる時は食物繊維の少ないフードを与えるように」と言う獣医師がいますが、それを言うなら人間も同じです。人間も食物繊維の消化は苦手です。でも食物繊維が便秘解消に効果的なのは皆さんご存知ですよね。犬や猫も、人間同様に適度な食物繊維は便秘の解消に繋がります。もちろん人間も犬や猫も食物繊維を過剰摂取すれば便秘になる可能性はありますが、フード主体の食生活で食物繊維の過剰摂取は有り得ないです。また、犬猫の便秘の原因は殆どが食べ過ぎです。ダラダラ食べさせたり、置きエサをしていると、胃が休まる時間が無くなり、腸の働きが低下します。ですので、便秘でお悩みの際は、食べさせる時間を制限して胃を休め、腸がしっかりと働ける時間を作ってあげてください。また、高たんぱく・高脂肪で低炭水化物のドライフードは便秘になりやすいです。ご注意ください。




低たんぱく食は軟便になるので与えれない???
健康診断で腎不全と診断されたり、膀胱炎や尿路結石をケアする為に低たんぱく食を与えたいけれど、どうしても便が緩くなってしまう事があります。これはフードが合わないわけででは無く犬猫の体質からすると当然の事です。低たんぱく食は必然と高炭水化物となるのですが、上で説明しました通り、犬猫は炭水化物(糖質や食物繊維)の消化が苦手です。消化が苦手な原因は糖質を分解する為の消化酵素であるアミラーゼと、食物繊維を分解する為の消化酵素であるセルラーゼが体内において不足しているからです。低たんぱく食を与えたいけれど軟便になってしまう時は、そのフードを与えるのを諦めるのではなく、不足している消化酵素を補ってあげてください。便が綺麗からフードが合っているとは限りません。逆に便が緩いからフードが合っていないとも限りません。その時の体調にとって本当に必要なフードを与える事が出来るようにしていただく事はとても大切と思います。