ストルバイトの原因と予防について。膀胱炎も。 第三章



ストルバイトや膀胱炎を発症させてしまうケース。
前回のコラムの最後に、尿のpHが7.5以上になる事は無く、ストルバイトや膀胱炎の発症を抑える事が出来る流れを軽く説明しましたが、今回はその反対に尿のpHが7.5以上になってしまい、ストルバイトや膀胱炎を発症させてしまうケースについてお話をします。

前回のコラムはこちらからどうぞ。
ストルバイトの原因と予防について。膀胱炎も。 第二章

前回の内容と重複しますが、食事を摂ると胃酸が分泌されて尿がアルカリ性に傾きます。その後、時間が経つにつれて胃が空っぽになると、胃酸の分泌が治まって尿は酸性に戻って行きます。ですが、食事と食事の間が短かったり、おやつやご褒美を頻繁に貰っていたり、置きエサでダラダラと食べていたりすると、胃が空っぽになる時間が無くなって、尿のpHが酸性に戻るタイミングを失ってしまいます。
どう言う事なのか具体的に説明しますと、食事を摂る前の尿のpHが正常の6.0前後だったとします。この時点ではストルバイトや膀胱炎の発症は考えにくいです。ですが、食事を摂った後に、胃酸が分泌されて尿がアルカリ化して、pHが7.0程度まで上昇したとします。その後、何も食べる事が無ければ、胃が空っぽになり尿のpHは食前の6.0前後まで戻るのですが、あまり時間を空けずに次の食事を与えてしまいますと、pHが6.0前後まで戻り切らない内に、新たに胃酸が分泌され始めますので、先程は7.0程度までの上昇で抑えられていたpHが、危険水域の7.5程度まで上昇をしてしまう事になります。更に、次の食事までの時間が短く、7.5程度まで上昇した尿のpHがあまり下がっていない状態で胃酸が分泌されると、それ以上にpHが上昇してストルバイト及び膀胱炎を発症すると言う流れです。
ですので、1日3回以上食事を与えていたり、置きエサをしてダラダラと食べさせていたり、トイレのご褒美などで頻繁に間食を与えていると、尿のpHが酸性に傾く為の空腹時間を作る事が出来ずに、ストルバイトや膀胱炎の発症リスクが高くなると言う訳です。
これが第一章で書いた、「ストルバイトを患う頭数は犬より猫の方が多いかと推測が出来ます」と「犬の場合は大型犬よりも小型犬の方が多いと思います」に繋がるのですが、犬よりも猫の方が置きエサによる食生活を行っているケースが多いですし、大型犬よりも小型犬の方が、室内でトイレをする事が多く、トイレで用を足す度にご褒美(間食)を貰っている事が多い事によって、空腹時間が短くなって尿がアルカリ化しやすいのと、人間の感覚で少量と思っている間食の量でも、体の大きさが小さい小型犬にとっては相当な量となって、フードの食べが悪くなり、ダラダラとした食生活になりがちなのが理由となります。また、しつけ教室でのトレーニング時も、ご褒美を貰う回数が多くなりがちなので要注意ですし、お散歩中に食べるおやつも無視は出来ません。

いずれにしても、ストルバイトや膀胱炎を発症させてしまう原因は「飼い方」に問題があると言う事です。獣医師が言いがちな「体質ですね」ではありません。

また、1日の食事回数が多過ぎたり、置きエサをしていたり、ご褒美を頻繁に貰っていると、フードの好き嫌い(選り好み)が激しくなっていきます。空腹時間が無いので好きな物しか食べなくなる、当然ですね。それなのに、フードを好き嫌いする原因が他にあると勘違いをして、どんどん食い付きの良いフードを探すようになり、行きつく先はお肉たっぷりの高たんぱくなフードになってしまいます。更に嗜好性を高める為にお肉をトッピングしたり・・・。そうなると、第二章で述べた「特に食べ物に含まれるたんぱく質の分解に胃酸を多く必要とする為、たんぱく質の多い食事を摂取すれば胃酸の分泌量も多くなり、尿のpHは大きくアルカリ性に傾く事となります。」の通り、空腹時間が短くて尿が酸性に傾くタイミングが無い上に、たんぱく質の摂取過多で食後のpHの振れ幅が大きくなりますので、余計にストルバイトや膀胱炎の発症リスクが高くなります。なので、ストルバイトや膀胱炎を発症した犬や猫の多くが、過度な甘やかしによって食生活が乱れてしまっています。そして次のようなケースでもストルバイトや膀胱炎を発症させてしまうケースが多いです。

今回はここまでとなり、続きは次回にお話をしたいと思います。

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