猫の甲状腺機能亢進症について



甲状腺機能亢進症って?
甲状腺機能亢進症(こうじょうせんきのうこうしんしょう)は、字のごとく甲状腺ホルモンが過剰に分泌される病気です。甲状腺ホルモンが過剰に分泌される事により、食欲が旺盛になったり、性格が攻撃的になったり、落ち着きが無くなったりなどと普段とは違う様子が見られるようになります。しかし、しっかりと食べているにも関わらず体重が落ちたり、急に元気が無くなったりなどと、様々な症状が見られるのが特徴です。定期的な健康診断や、少し体調が優れない時の診察で見つかる事が多く、診断には血液中の甲状腺のホルモンの量を測定して、数値が高ければ甲状腺機能亢進症と確定します。また、この甲状腺機能亢進症は、慢性腎不全同様に高齢猫に非常の多い病気です。ちなみに犬には殆ど見られません。




甲状腺機能亢進症の治療は?
甲状腺機能亢進症の治療には、「内科療法」「外科療法」「食事療法」があります。「内科療法」は、甲状腺ホルモンの合成を阻害する薬の投薬です。「外科療法」は、甲状腺の摘出です。どちらかと言うと「内科療法」が一般的ですが、愛猫の年齢や体調などを見極めた上で、主治医とよく相談をして「内科療法」か「外科療法」かをお選びください。そして「食事療法」は「内科療法」と並行して行いますが、ポイントは甲状腺ホルモンの原料となる「ヨウ素」を制限した食事を与える事です。ヨウ素とは猫にとっては必ず摂取しないといけない「必須ミネラル」ですので、総合栄養食のキャットフードには必ず含まれております。「ヨウ素が含まれていないキャットフード」と言うのはありませんので、甲状腺機能亢進症の食事療法には「ヨウ素の少ないキャットフード」を与える事となります。ちなみに総合栄養食の基準となるAAFCOが定めるヨウ素の最低含有量は「0.35mg/kg」となっていますが、一般的なキャットフードには「1mg/kg」以上、含まれているのが多く見られます。




甲状腺機能亢進症と慢性腎不全は併発する?
甲状腺機能亢進症を治療していくにあたって注意が必要なのが慢性腎不全の併発です。これは、甲状腺機能亢進症の治療の副作用によって慢性腎不全を発症するのでは無く、甲状腺機能亢進症になると、腎臓を無理矢理に酷使して、あたかも腎臓の機能が正常であるかのような状態となります。しかし、甲状腺機能亢進症の治療を進めていくと、腎臓が今現在の姿(働き)となり、腎機能の低下が表面化すると言うわけです。ですので、甲状腺機能亢進症が慢性腎不全を誘発するのでは無く、甲状腺機能亢進症によって慢性腎不全が隠されていたと言う事です。甲状腺機能亢進症も慢性腎不全も共に高齢猫に多く見られますので、併発してしまう事は決して珍しくありません。甲状腺機能亢進症の治療中は、腎臓の状態もこまめにチェックするようにお願いします。結果、甲状腺機能亢進症と慢性腎不全のどちらを優先して食事療法を行っていくかを主治医とご相談いただき、フード選びをお願いします。フード選びの際はお気軽にご相談ください。

【関連コラム】
愛猫が10歳近くになったら必ず検査をしてください!

Facebookコメント