愛猫が10歳近くになったら必ず検査をしてください!



元気や食欲があっても検査をお願いします!
愛猫が10歳。皆さんはどうお感じになられるでしょうか?「もう10歳」「まだ10歳」どっちでしょうね。可愛い愛猫の事を想うと両方の感情がこみ上げてくるのでは無いでしょうか。ひと昔前だと10歳は老猫と言う感じがあったかも知れませんが、現代では10歳だとまだ老猫どころか高齢期にも差し掛かっていない位と感じられる方も多いかと思います。でも実際は、やはり若い頃とは同じ身体ではいられないのです。見た目はまだまだ若くても少しずつですが徐々に身体は衰えてきます。その第一歩となるのが甲状腺ホルモンの過剰分泌によって起こる甲状腺機能亢進症の発症です。典型的な症状は「良く食べているにも関わらず体重が落ちる」「落ち着きが無くてよく鳴く」、この2点でしょうか。他にも多飲多尿や嘔吐なども見られる事がありますが、これは他の疾患でも見られる事がある症状ですので、あまり参考にはならないと思います。ですので、元気や食欲があったとしても安心は出来ません。10歳近くになった際は甲状腺ホルモンの測定を是非お願いします。




検査は簡単!まずは動物病院へ。
甲状腺ホルモンの測定は多くの動物病院で簡単に行う事が出来ます。通常の血液検査と同様に採血をして、院内にある検査機器で測定をします。待合室で待っている間に検査結果は出ると思います。費用もそれほど高額ではありませんので、気になる症状が無くても愛猫が10歳近くになれば定期的に検査しておくのも良いかも知れません。また、その際には通常の血液検査も同時に行う事をおすすめ致します。いわゆる生化学検査です。肝臓や腎臓の状態を調べる事が出来ます。もしも、甲状腺機能亢進症を発症していればALP(アルカリホスファターゼ)の数値の上昇が見られると思います。ですが、腎臓の状態を調べる事が出来る項目であるBUN(尿素窒素)とクレアチニンは正常値である事が多いです。しかし安心してはいけません!甲状腺機能亢進症を発症していると、腎臓への血流量が多くなり、あたかも腎臓が元気であるかのような検査結果となってしまいます。ですので、甲状腺機能亢進症の治療を投薬によって開始すると、徐々に腎臓への血流量が少なくなり、腎臓の数値が上昇して腎臓病が表面化してくる事があります。ですので、甲状腺ホルモンの数値が下がれば腎臓の数値が上がると言った感じになるケースが多いので、甲状腺ホルモンの測定と生化学検査は同時に行うようにお願いします。




食事療法は腎臓病を優先してください!
甲状腺機能亢進症の治療としては甲状腺ホルモンを抑制する薬の投薬が大切です。ヨウ素を制限した食事による食事療法をお考えになられる方もおられますが効果は限定的ですし、そもそもヨウ素の含有量を公表していないフードメーカーが多いので、低ヨウ素のフードを探す事も非常に困難です。また、キャットフード(ドライフード)に含まれるヨウ素の平均的な含有量は「1mg/kg」程度で、多くて「2mg/kg」程度。1kg当たりに1mgなので非常に微量です。10g当たりに換算すると0.01mgしか入っておらず、パーセントに直すとたったの0.0001%です。しかし、おやつや缶詰で魚介類を与えてしまうとヨウ素を沢山摂取する事になってしまいますので要注意です。特に甲状腺機能亢進症と診断され、ドライフードとウエットフードを併用している場合は、チキンやビーフなどの肉系の製品を使うようにお願いします。そして、主食となるドライフードはヨウ素の含有量は重要視せずに、腎臓への負担が軽減されている腎臓ケアのフードを与えるようにお願いします。こちらはたんぱく質やリンが制限されており、制限されていないフードに比べますと数値的にも大きな違いがございます。よって、愛猫が10歳近くになり、甲状腺機能亢進症の診断を受けた際には、甲状腺ホルモンを抑制する薬による治療と、腎臓をケアする食事のご利用をお願いします。

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