高齢猫が痩せてきたら



食欲があるのに痩せて来たら!
これは本当に良くある話です。猫を飼っている方は是非覚えておいてください。

猫が10~15歳位になった頃に、食欲は旺盛でご飯は良く食べるけれど、不思議と体重が落ちてくる事があります。最初はそれ程に気にならないと思うのですが、体重の減少が顕著になった時に多くの方は動物病院に行かれると思います。もちろんそれは正解です。気になり始めた際には可能な限り早急に診察を受けてください。そうすると、大半の動物病院では、まず血液検査をする事になると思います。血液検査の結果を見ながら、肝臓や腎臓などに異常が無いかを診てもらう事になるかと思います。猫に多い腎臓病や糖尿病なども疑いながら慎重に診察をしてくださると思います。ですが、その結果、肝臓の数値が少し気になる程度で、特に目立った異常が見られない事がありますが、そこで安心してはいけません!




「少し肝臓が悪いけど様子を見ましょう」と言われたら!
様子を見ましょうと言われても、「食欲が旺盛でご飯は良く食べるけれど体重が落ちる」には必ず原因があります。出来れば追加の検査をお願いするか、言いにくければ別の病院でセカンドオピニオンを受けるようにお願いします。そして受けていただきたい検査が甲状腺ホルモンの測定です。通常の血液検査だけでは判断しづらいのですが、良く食べているのに体重が落ちる代表的な猫の病気が「甲状腺機能亢進症(こうじょうせんきのうこうしんしょう)」です。甲状腺機能亢進症は、甲状腺ホルモンが過剰に分泌されて全身臓器への悪影響がみられる疾患ですが、原因は良く分かっていませんので予防法はありませんが、高齢猫の多くに発症する可能性があります。名前を覚えておくだけでも大切かと思います。




甲状腺機能亢進症の治療を始めると!
甲状腺機能亢進症の治療(投薬)を始めると大切になるのが、腎臓病(慢性腎不全)の疑いを持つ事。先の血液検査では腎臓の状態は良好との結果が出ていたはずなのですが、甲状腺機能亢進症の治療を進めて行くと、腎臓の状態を示す数値が上昇する事があります。これは甲状腺機能亢進症の影響で腎臓への血流量が増加する事によって、腎臓病が隠れてしまうためです。甲状腺機能亢進症の治療によって腎臓への血流量が少なくなる事により、腎臓病が表面化するのです。こうなると、甲状腺機能亢進症の治療と並行して腎臓病の治療も行う必要が出てきます。また、甲状腺機能亢進症の影響を受けずに腎臓の状態を調べる事が出来るSDMA検査を早い目に受けておく事も腎臓病の早期発見、早期治療にとってはとても効果的です。ご愛猫が高齢期に差し掛かってきた際には、通常の血液検査に加えて、甲状腺ホルモンの検査、SDMA検査も大切になります。気になる方は是非主治医にご相談ください。

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