高齢犬が腎不全と膵炎を併発した時の食事は?



高齢犬によく見らえる腎不全とは?
高齢犬の代表的な疾患のひとつである腎不全。10歳を超えた位からは常に注意が必要です。特に嗜好性の高いお肉たっぷりの高たんぱく質なフードを食べている子や、鶏ささみや馬肉などの肉類をドライフードにトッピングをしている子は要注意です。よく見られる症状としては、水の飲む量が増えて排尿の量が増える多飲多尿、尿の色が薄くなる、食欲不振、被毛の艶が無くなりパサついている、しっかり食べているにも関わらず体重が落ちる、口臭が強くなるなど。病状が進行すると、貧血が起きてふらついて歩行困難になったり、尿毒症による痙攣が見られるようになります。とても怖い病気です。




年齢に関係無く起こり得ます。膵炎とは?
猫に多いのは慢性膵炎ですが、犬に起こる膵炎の大半は急性膵炎です。急性膵炎の症状は、食欲が無く嘔吐や腹痛、下痢などの症状が生じます。特に激しい腹痛を伴う事が多く、前足を前方に伸ばし胸を床につけてお尻を突き上げる、祈りのポーズ(祈りの姿勢)をとるケースが多いです。この急性膵炎の多くの原因が食生活の乱れです。この食生活について多くの動物病院では、脂肪分を控えた食生活の指導を行います。理由としては、膵炎は血中のリパーゼ(脂肪を分解する酵素)の値が上昇しますので、膵臓が脂肪分を分解する酵素であるリパーゼを分泌し過ぎないように、脂肪分の摂取を制限するように指示をするのだと考えられます。但し、脂肪分の摂取を制限したとしても、たんぱく質を過剰摂取していれば膵炎は発症します。一時期お笑い芸人さんに急性膵炎が多発していましたが、原因の多くはアルコールの摂取過多でしょう。決して脂肪分の摂取を制限すれば良いと言うわけではありませんのでくれぐれもご注意ください。




膵炎が再発してしまう原因として多いのがこれ!
動物病院の指導の下、リパーゼの分泌を抑える目的で、脂肪分を控えた食生活を行っていても膵炎を発症(再発)してしまうケースが多いのですが、その原因の多くはたんぱく質の過剰摂取です。脂肪分を抑えたドッグフードは過度なたんぱく質を含有しているケースは少ないので、そのようなドッグフードを使用していれば、たんぱく質を過剰摂取してしまうケースは少ないのですが、落とし穴が動物病院が指導する「脂肪分を控えた食生活」なのです。脂肪分を控えた食事なら大丈夫と言う事で、低脂肪の代表的な食材である「鶏ささみ」や「鶏胸肉」「馬肉」などを低脂肪のドッグフードにトッピングをしたり、おやつで与えてしまったりしてしまいます。その結果、高たんぱく質・低脂肪の食生活になってしまい、膵臓内でたんぱく質を分解するトリプシンが暴走し膵炎を発症(再発)してしまいます。ですので、膵炎の予防には脂肪分の摂取を控えるだけでは無く、たんぱく質の摂取制限(適度な摂取)も大切になります。




腎不全も膵炎もたんぱく質は控えめに!
腎不全の食事療法と言えば「低たんぱく質」で、膵炎の食事療法と言えば「低脂肪」となりますが、膵炎の場合はたんぱく質の過剰摂取にも注意が必要ですので、腎不全と膵炎を併発している時は、低たんぱく質のフードをお選びください。但し、腎不全対応の低たんぱく質のフードは腎機能低下による体重減少を防ぐ目的で脂肪分を多く含むフードが多いです。ですので、腎不全と膵炎を併発している際に、脂肪分を多く含む腎不全対応のフードのご利用を躊躇なされる方が多いですが、食事療法としては腎不全への対策を優先していただきたいので、腎不全対応のフードをご利用いただき、脂肪分の分解を手助けしてくれる消化酵素サプリメントをご利用いただく事で膵炎への対策も可能と考えます。よって、腎不全と膵炎を併発している際の食事は、腎不全対応の低たんぱく質のフードと消化酵素サプリメントを併用していただく事をおすすめ致します。

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