ストルバイトの結晶に焦らないで!



症状が無くても結晶は検出されます!
以前のコラムにも同じような事を書いた事があるようにも思うのですが、ストルバイトの結晶についてお話をします。犬でも猫でも同じですが、ストルバイトの結晶が見つかるケースとしては大きく分けると2通りあると思います。まずひとつは、尿の出が悪くなったり、血尿が出たりした為に動物病院で受診をし、尿検査の結果ストルバイトの結晶が見つかるケースと、もうひとつは定期的な健康診断やワクチンの接種などで病院へ行き、ふとした尿検査によって予想もしなかったストルバイトの結晶が見つかるケース。前者の場合は、症状から予測が可能なので尿検査を受ける前からストルバイト結石の疑いがある旨を獣医師から説明を受けていると思われますが、後者の場合は飼い主様としても全く予想もしていなかったと思いますので、とても驚かれると思います。そして、どちらのケースも獣医師から「このフードしか与えてはいけません!」と言う感じで療法食の紹介を受ける事になると思います。ですが、特に困った症状が出ていない後者の場合も療法食を与える必要があるのでしょうか?




出来るのは問題では無くて溶けないのがダメ!
結論から申しますと、特に困った症状が出ていなければ療法食を与える必要はありません。ある程度の注意は必要ですが、ストルバイトの結晶は出来てしまう事に問題がある訳では無く、出来てしまった結晶が溶けるタイミングが無くて、大きな塊になってしまうのが問題です。実際に、尿検査でストルバイトの結晶が検出されているにも関わらず、血尿や頻尿の症状が出ていないと言う事は、結晶が作り続けられているわけでは無く、作られたり溶けたりを繰り返している状態だと考えられます。ですので、このような時はストルバイトの結晶が溶ける時間帯をしっかりと作る事が大切です。もちろんストルバイトの結晶が作り出される事が無ければ何の心配も無いのですが、実は何事も無く健康に過ごしている子でも、食後の一時的にストルバイトの結晶が作り出されている事は決して珍しくは無いのです。頻尿や血尿の症状が無く、尿検査を受けていなければストルバイトの結晶が作り出されている事に気づく事が出来ないですからね。そのような子の場合は、長時間の空腹時間をしっかりと確保出来ているので、ストルバイトの結晶は溶けてくれて大事には至っていないと言う訳です。このように、ストルバイトの結晶は作り出される事が問題なのでは無く、溶ける時間を確保出来ない事が症状の悪化に繋がりますので、食事の回数を1日2回に限定し、間食を控えて長時間の空腹時間を作る事が大切となります。




心配し過ぎる必要は無いので焦らないで!
特に困った症状(頻尿や血尿など)が出ていなければ尿検査でストルバイトの結晶が見つかっても焦る必要はありません。たまにペットシーツにキラキラした物を目にする事もあるかと思いますが、それもおそらくストルバイトの結晶でしょう。そんな時も症状が出ていなければ焦って受診する必要はありません。まずは、しっかりと空腹時間を確保してあげてください。ついつい間食を与えてしまっている場合はそれを止め、食べ残しを置きっぱなしにしていればそれも止めて、朝晩2回の食事の時間帯以外は何も食べさせないようにしてあげてください。また、ご利用中のフードを見直す必要がある場合もありますので気になる方はご相談ください。また、一度ストルバイトの結晶が尿検査で見つかったとしても、頻尿や血尿などの症状が見られないようであれば再検査の必要はありません。検査の為に動物病院に出向く方が犬や猫にとっては余計なストレスが掛かってしまう事も考えられます。心配し過ぎるよりも、まずはしっかりと空腹時間を確保する事を心掛けていただく事が何よりも大切です。その為にも、好き嫌いをさせずに朝晩2回の規則正しい食生活が出来るように育ててあげてくださいね。それが出来るか出来ないかは飼い主様次第ですよ。宜しくお願い致します。

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