この勘違いは危険です!
尿のアルカリ化を防ぐ為にミネラルを制限!
代表的な尿路結石であるストルバイト。尿のアルカリ化が原因で生成される結石ですが、ストルバイト予防を目的としたフードに記載される事が多いこの文言。
「ミネラルを制限しているので尿のアルカリ化を防ぎます!」
どのような意味で書かれているのか理解に苦しむのですが、ミネラルの摂取量と尿のpHは何ら関係がありません。
確かに尿のアルカリ化を防ぐ事がストルバイトを予防する上で最も重要ではありますが。
当店のコラムをいつもご覧いただいている方は既にご存知かと思いますが、尿のアルカリ化を防ぐ為に必要なのは「空腹時間の確保」と「たんぱく質の摂取制限」です。
ミネラルを制限しても尿のpHがアルカリ性に傾いていればストルバイトの結石は生成されます。逆に、ミネラルを沢山摂取しても尿がアルカリ性に傾かなければ結石は生成されません。
従って、ミネラルを制限しただけではストルバイトの予防には繋がりません。
「うちの子はミネラルの摂取を制限しているから安心!」とはなりませんので、くれぐれもご注意ください。
膵炎の再発が怖いから脂質を制限!
犬に多い急性膵炎。ひと昔より圧倒的に増えています。増えた原因は明らかですが。それは後ほど。
急性膵炎とは、膵臓から分泌される消化酵素が、膵臓自体を自己消化してしまう病気です。代表的な症状は食欲不振、嘔吐、下痢、腹痛などとなります。
この急性膵炎を発症した際、血液検査のリパーゼの数値が上昇する事が多く、このリパーゼが「脂肪を分解する消化酵素」である為に、脂肪分の摂取を制限した低脂肪食を与えるように獣医師から指示があります。
その為、脂肪分を制限した食生活を実践する方が多いですが、ここで大きな勘違いをしてしまうケースが目立ちます。
「鶏のささみや馬肉は低脂肪だから安心!」
確かに鶏のささみや馬肉は低脂肪です。ですが、リパーゼは脂肪分だけでは無く、たんぱく質を摂取しても分泌されます。逆に言うと、脂肪分を摂取した時だけリパーゼが分泌されるわけではありません。もっと言うと、膵炎の原因はリパーゼだけではありません。他の消化酵素も膵臓を自己消化します。
ですので、リパーゼに限らず膵臓で過剰に消化酵素が分泌される事の無いように心掛ける事が大切です。要は暴飲暴食をしない事。
犬にとっての暴飲暴食とは高たんぱく・高脂肪の食生活。昔より急性膵炎が多いのは高たんぱく・高脂肪のフードが多い為。更に肉類をトッピングしたりと。急性膵炎を発症しても何ら不思議では無い食事を与えている方が増えている為です。
ちなみに人間の急性膵炎の原因の多くがアルコールの過剰摂取とバランスの悪い食事。くれぐれもご注意ください。
尿路結石や急性膵炎だけではありません!
今回のコラムでは尿路結石と急性膵炎の食事療法を行う上で、勘違いをしやすい点をご紹介しましたが、それ以外のケースでも勘違いによる誤った食生活を実践してしまっている方が少なくはありません。
色んな情報を入手すればする程、どれが正解かが分からなくなり、あらゆる方法を取り入れてしまった結果、誤った食生活を行ってしまうと言ったパターンが多いように思います。
誰のどの情報を信用するかで結果は大きく変わって来ます。この見極めが最も大切ですね。以上です。
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