2019年1月


このコーナーではわたくし「店長」が、皆様に知っていただきたい情報などを配信してまいります!

更新は不定期ですが是非お楽しみください!!

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腎不全はとっても怖い病気です!
犬にも猫にもとても多い疾患である腎不全(慢性腎臓病)。特に猫にとって腎不全は死因の第一位です。そして、腎不全と診断された際にとても大切になるのが食事管理です。いわゆる食事療法となります。実際にどのような食事が必要になるのか詳しく説明していきたいと思います。




〇〇は摂取を制限してください!
腎臓の機能が低下すると言う事は、血液のろ過能力が落ちている事を意味します。本来、腎臓の働きによって体にとって必要なものは血液に残し、不要な物は尿として体外に排出すると言った事が行われおります。しかし、腎臓の機能が低下し、血液のろ過能力が落ちますと、体にとって不要な物までが血液と一緒に体中に回っていきます。ですので、腎臓の機能が低下している場合には、ろ過能力の落ちた腎臓が少しでも働かなくても良いように、ろ過の負担になる「たんぱく質」や「リン」「ナトリウム」などの摂取を控える必要があります。摂取を控える事により、腎臓への負担を軽減し、腎臓病の進行を遅らせる事が出来ると言われています。腎臓病と診断された場合は、腎臓病対応のフードをお与えいただくようお願い致します。




肉・野菜・果物は与えても良いの?
腎臓の機能が低下すると食欲も落ちる傾向があります。更に、腎臓病対応のフードは決して美味しいフードとは言えません。その為、好き嫌いの激しい子の場合は、なかなか腎臓病対応のフードを与えても食べてくれません。ましてや、日頃からドライフードだけでは食べないので肉類や野菜などをトッピングして食事を摂っていた子にとっては、腎臓病対応のフードだけで食べろと言ってもなかなか食べてくれません。だからと言って、腎臓病対応のフードに肉類や野菜類をトッピングして与えては、完全に支離滅裂な話。せっかく、「たんぱく質」や「リン」や「ナトリウム」を制限したフードを与えているのに、肉類や野菜類を加えると言う事は、「たんぱく質」や「リン」や「ナトリウム」をトッピングしているようなもの。ですので、健康な常日頃から「与えられた物を食べる」と言った習慣をつけておく事はとても大事です。フードは愛猫に選ばせるのでは無く、飼い主様が主導権を持って選ぶようにお心掛けください。




水分の摂取は大切だけど・・・・。
腎臓病には水分の摂取がとても大切です。水分を摂取すれば尿量が増えます。尿量が増えると言う事はろ過能力の落ちている効率の悪い腎臓のサポートになります。ろ過能力の高い腎臓であれば少量の尿で不要な物を排出出来ますが、ろ過能力が落ちている場合は沢山の尿で少しずつ不要な物を排出します。しかし、いくら水分を沢山摂取して欲しいからと言って、お肉や魚でとったダシ(スープ)を与えたり、水分含有量の高いペーストタイプのおやつを与えていては逆効果です。水分を摂取しても余計な物を摂取する事で腎臓にはダメージを与えてしまいます。ドライフードをぬるま湯でふやかしたり、ウエットタイプの腎臓病対応のフードを与えて水分摂取量を確保するのであれば良いですが、美味しいダシ(スープ)やおやつを与えると余計に「食べないといけない」腎臓病対応のフードが美味しくなく感じてますます食べなくなります。ですので、無理に水分を摂取させようとするのはあまり効果的とは言えません。必要であればご家庭による補液(皮下点滴)を主治医にご相談ください。殆どの動物病院では点滴キットを貸し出してくれます。皮下点滴は血管に針を刺すわけではありませんので、素人でも簡単に行えます。一度主治医にご相談をなされてはいかがでしょうか。とにもかくにも、腎臓病の治療には腎臓病対応のフードを食べてもらう事が最も大切と言えます。体調が思わしくない上に厳しく接するのには気が引けるお気持ちはとても良く分かりますが、頑張って腎臓病対応のフードを食べてもらえるように、飼い主様の我慢も必要になります。


今年もこの話題。このお悩みが。きちんと理解しよう!
年末年始もやっぱりこのお問い合わせがダントツトップ。そうです。ストルバイト。どうしてこんなに多いのか。もちろん、従来に比べしっかりと健康診断をうけている子達が増えた事や、日常の体調の変化をしっかりと見極めてくださる飼い主様が増えた事も大きな要因だと思います。しかし、大変失礼ながら経験不足の獣医師が増えた事も関係しているように思います。その理由は。。。




ストルバイトの結晶は出来て当たり前?
健康診断の一環で尿検査をうけると、尿中にストルバイトの結晶が!日常の生活では全く問題無かったのでビックリしました!なんて事がとっても多いです。どうしてこんな事が起きるのでしょうか。何故なら食後の尿中にはストルバイトの結晶が存在(生成)していても何らおかしくはありません。特に動物病院が開院する頃の午前9時や10時頃と言うと、犬や猫は食後2時間程度。その時間帯に尿を採取するとストルバイトの結晶が検出される可能性は非常に高いです。しかしそれだけでは問題があるかどうかは正直分かりません。何故なら、食後2時間程度の尿中にはストルバイトの結晶があるのが普通。常識です。もちろん無いに越した事はありませんが、あっても異常ではありません。それなのに、ストルバイトの結晶が見つかった時点で「この子は結石体質です!」なんて言われると「そうしよう・・・涙」ってなりますよね。ストルバイトの結晶は出来て当たり前。見つかって当たり前。そう思ってください。だからと言ってみんなが結石症にはなっていません。ストルバイトの結晶が見つかったからと言って結石症ではありません。結晶が固まってはじめて結石症です。




ストルバイトの予防に大切なのは溶解!
食後の尿中にはストルバイトの結晶があっても問題ありません。しかし、問題なのはそのストルバイトの結晶がいつまであるのか?ストルバイトの結晶は生成された後に通常は溶解、溶けて無くなってしまいます。溶けずにいつまでも尿中に存在し、次から次へと生成されたストルバイトの結晶と結合しあって大きな結石となってしまいます。それが結石症です。ですので、尿検査はストルバイトの結晶が溶解されて無くなっているはずの食前にうけてください。食後にストルバイトの結晶が検出されても、食前にストルバイトの結晶が検出されなければ問題ありません。ストルバイトの結石症の予防に大切なのは「ストルバイトの結晶を作らない」のではなく、「ストルバイトの結晶を溶かす」事が大切なのです。溶かす為には、数時間の空腹時間を作る必要があります。ダラダラご飯やおやつを食べていてもストルバイトの結晶は溶けてくれません。ストルバイトを結晶をしっかりと溶解、溶かして無くす食生活をお心掛けください!実際にどのような食生活を送ればストルバイトの結晶を溶かす事が出来るのか。お悩みの方、お気軽にご相談ください。