2019年9月


このコーナーではわたくし「店長」が、皆様に知っていただきたい情報などを配信してまいります!

更新は不定期ですが是非お楽しみください!!

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25年前のペットフードとは?
私がペット業界で働き始めたのが25年前。当時の主役はドッグフードなら「ペディグリーチャム」でキャットフードなら「カルカン」。両方とも同じメーカーの缶詰(ウエットフード)でテレビCMをバンバン流し、大型ペットショップの特売日には必ずと言って良い程、店頭に何百ケースと積み上げられ、開店前から長蛇の列。当時はホームセンターやドラッグストアが殆ど無い時代でしたので、「ペットフードの販売」=「ペットショップ」でした。その為、今ではペットショップでは良質なフードを中心に、ホームセンターやドラッグストアでは安価なフードを中心に販売と言ったイメージがありますが、当時は良質なフードが少なかった事もあり、ペットショップの売り場は現在のホームセンターのペットフード売り場にそっくりでした。ちなみに、当時の特売チラシの目玉商品は、「ペディグリーチャム」や「カルカン」の他に、「ビタワン」や「愛情物語」「ランミール」と言った10kgサイズで980円のドッグフードや、「フリスキー」や「ねこ元気」「ブレッキーズ」などのキャットフードで、「フリスキー」は1.5kgサイズで298円や398円などで販売していました。懐かしい。




次の時代の主役は獣医師推奨のあれ!
それから少しして勢力を拡大してきたのが、「獣医師推奨」の謳い文句でブレークした「サイエンスダイエット」。当時、私も上司から「サイエンスダイエットをお客様にすすめなさい!」と良く言われました。当時では超ハイクラスのペットフードでしたから。同じ時期に「アイムス」や「ユーカヌバ」が出て来て、ペットショップの売り場は徐々に現在の売り場に近づいて行きました。また、当時のペットフードではチキン主体が主流でしたが、低アレルギーと言う謳い文句で登場するのが「ラム&ライス」のペットフードです。主にドッグフードでしたけど。キャットフードはまだまだ安価なフードが主流でした。




ラム&ライスで一世を風靡したフードがこれ!
鶏と小麦の組み合わせが常識だったペットフードに、子羊肉と米と言う新たな組み合わせが登場します。それがラム&ライスですが、当時のラム&ライスと言えば、「ニュートロ ナチュラルチョイス」。低アレルギーを謳って爆発的に売れました。これが20年前くらいでしょうか。実際に皮膚疾患などのアレルギー症状が多く出始めた時代で、チキンベースからラム&ライスのフードに切り替えた事により、皮膚疾患が治ったと言うケースも多く見られました。その結果、チキンはアレルギーが出やすく、ラムは低アレルギーな食材だと言われましたが、実際は小麦に含まれるグルテンが原因の皮膚疾患で、お肉はチキンでもラムでもどっちでも良かったのです。




ヨーロッパからペットフードがやって来る!
上記に名前が出たフードは日本産もしくはアメリカ産のペットフード。日本国内のペットフード市場はその2か国で成り立っていたと言っても過言ではありません。しかし、当店Bros.を開業した2003年の少し前からヨーロッパからペットフードが輸入されるようになりました。このヨーロッパからペットフードが輸入されるようになった事により、ペットフードが一気にレベルアップしたと思います。また、アメリカで起きましたとペットフード大リコール事件により、ヨーロッパ製のペットフードを求めるお客様も拡大致しました。とは言っても当時はドイツのボッシュやアニモンダ、オランダのヤラー、イギリスのジャジーズチョイスなど数種類のみ。その後、ヨーロッパからイタリアのFORZA10やイギリスのフィッシュ4など次々と新しいメーカーが日本へ入って来て今に至るのですが、数年前よりペットフード業界に大きな動きが見られました。それがグレインフリー(穀物不使用)フードの登場です。




良い事ではあるが過剰なフードにはご注意を!
犬猫は肉食で穀物の消化が苦手。だから理想はグレインフリーのペットフード。特にトウモロコシを使用しているフードは粗悪だと。これらの発信元はアメリカやカナダのペットフードメーカーです。過去のコラム(とろもろこし(コーン)は本当に悪者なの?)にも書きましたが、2012年頃のアメリカ大干ばつの影響で、トウモロコシ価格が高騰し、ペットフードにトウモロコシを使用する事が困難になったアメリカやカナダのメーカーが、豆や芋を使用したフードを販売しグレインフリーのフードが急増しました。それだけなら別に大きな問題では無いのですが、嗜好性を良くするあまりに、お肉を使い過ぎの高たんぱく過ぎるフードが増えて、結果的に内臓疾患や泌尿器系の疾患を患う子が多くなってしまったように思います。ちなみにヨーロッパにもグレインフリーフードはありますが、アメリカやカナダのグレインフリーフードに比べますとたんぱく質は低めで体には優しくなっています。




これからのペットフードはこうなって欲しい!
とにかく安全で体に優しいフードが増える事を祈っています。正直、嗜好性いわゆる食いつきはそれほど重要ではありません。求めるのは安全な食事です。適度な量のおやつ(間食)であれば犬猫は何でも食べます。食べが悪ければおやつをやめれば良いだけです。嗜好性を重視すると体に負担の掛かるフードになってしまいます。あとはいかに生食に近いフードが作られるかです。どれだけ新鮮な食材を使用しても、製造工程の熱処理で大切な栄養素が失われてしまいます。今後のフードメーカーさんの開発に期待です!


粒の大きさを気にしだすと要注意かも!
仔犬や仔猫をショップやブリーダーで購入なされると、「このフードを与えてくださいね~」とフードの紹介を受ける事が大半かと思います。生後3ヶ月未満だと、そのフードをぬるま湯でふやかして与えてくださいと指示がある場合が殆どだと思います。それから暫くするとフードをふやかさずにカリカリのままで与えるようになります。その頃はがむしゃらに食事を摂りますので、フードの粒の大きさなんて気にせず、殆ど丸飲み状態の子も多いです。しかし生後半年近くになると、フードの食べが悪くなり、食事を残す事が多くなります。それを見た飼い主様は、「歯の生え変わりで硬い粒が食べ辛いのかも」や「この子には粒が大きすぎて食べ辛いのかも」と思う方も少なくはありません。でも本当にそうでしょうか?




犬猫の噛む力を甘く見てはいけません!
フードの食べが悪くなった時にフードの粒の大きさや硬さを原因になされるお気持ちは分からなくはありません。しかし実際には全く関係ありません。犬猫にとってみればカリカリのドライフードなんて柔らかいものです。犬は人間の数倍の噛む力があると言われています。猫でも人間の2倍の噛む力があると言われています。ドライフードを噛み砕くなんてとっても簡単なのです。それなら「何故粒が大きいと食べないの?」「小粒なら食べるのは何故?」「柔らかいフードなら食べるのはどうして?」と思われると思います。答えは簡単「面倒だからです」。




苦労してでも食べたいと思わせないとダメ!
人間の食事に例えますと、食べ物を予め食べやすいサイズにカットしてくれているととても食べやすいですよね。海老や蟹でも食べやすい状態で出された方が嬉しいですよね。犬猫も同じです。粒が小さかったり柔らかかったりするととても食べやすく、逆に粒が大きいとしっかりと噛まないといけないので食べにくいです。粒が大きいフードはそこまで苦労して食べたいと思っていないので食べないのです。実際に「食が細い」や「好き嫌いが激しい」とお感じの愛犬・愛猫は小粒は食べるけど粒が大きいと食べないと思われた方も少なくは無いのでは無いでしょうか。それでは何故そうなってしまうのかを考えて行きましょう。




食事の重要性をもっと意識させてください!
ドライフードを噛んで食べるのが面倒に感じてしまう原因は、嗜好性が高くドライフードよりも興味のあるものを与え過ぎているのが原因です。大好きなおやつを一日に数回与えていたり、安易に食べられる柔らかいおやつを与えていたり。その結果、食事を摂らなくてもさほどお腹が空かず、食事の重要性を感じずに、噛んで食べると言うしんどい思いをしてまでも食べたいと思わなくなってしまいます。また、おやつは与えていないと言う方の中には、「おやつは与えていないがご褒美は与えている」や「水分補給に鶏のスープを与えている」と言った方もおられます。私からすると両方ともおやつです。両方ともドライフードに興味を持たなくなる可能性は高いです。ご褒美や水分補給のスープはあくまでも補助食です。補助食よりも主食の方が大切なのは人間であれば誰でもわかると思います。でも犬猫には分かりません。しっかりと飼い主様が管理してあげてくださいね。