2022年3月


このコーナーではわたくし「店長」が、皆様に知っていただきたい情報などを配信してまいります!

更新は不定期ですが是非お楽しみください!!

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とても多い空腹時の胃液に関するお問い合わせ
沢山の方からお問い合わせをいただきます。犬も猫も空腹時が長く続いたり、草を食べた後などに透明の泡状の液体を吐く事がありますが、あの液体の正体は胃液です。その胃液を朝方などに吐いてしまうので何か良い対策は無いかと、動物病院に相談をなされたり、インターネットで調べたりしますと、99%ほどの確率で「食事の回数を増やしてください。」や「朝方の空腹を避ける為に寝る前に食事を与えてください。」などのような、空腹状態の阻止に繋がる方法を試す事になると思います。確かにそれで嘔吐は治まるかも知れませんが、それで大丈夫ですか?少なくとも当店ではそのような解決策をご提案する事はありません!




そもそも胃液は何の為にあるの?
解決策を模索する前に、まずは胃液とはどのような働きをする物なのかを考えて行きましょう。皆さんも何となくはお分かりになられていると思いますが、胃液は「食べ物を消化する為に胃で分泌される消化液」の事です。胃液に含まれる消化酵素の働きで食べた物を消化します。ですので、胃液が分泌されている事はとても良い事なのです。胃液が無いと食べた物を消化出来ないわけですからね。本来、胃液は食べた物が胃の中に届いた時に分泌されます。ですが、食後数時間後の空腹時にも胃液は分泌されます。これは胃の中が空になると、胃の筋肉がいつも以上に大きく収縮して、食べカスや汚れを掃除してくれます。逆に考えると、空腹時間を作らないと胃の中の掃除が出来ずに汚れっぱなしになってしまうと言う事です。但し、胃の中に食べ物が無い状態で胃液が分泌されますので、胃の粘膜が刺激を受けて吐きやすくなってしまいます。また、猫が毛玉を吐き出す時や、犬が固いガムやアキレス、お散歩中に食べた草などを吐き出すタイミングが空腹時に多いのは、胃の中の掃除中に起こる嘔吐だからと言えます。特に春先から夏に掛けて抜け毛が多くなる季節です。犬でも猫でも自分の抜け毛を飲み込んでしまい、胃の中に抜け毛が溜まりやすくなります。その胃の中の抜け毛に対しても胃液は分泌されますので、必然と胃液の嘔吐は増える事となります。




結局のところ解決策は?
空腹時の嘔吐が胃の中の掃除が原因だと考えますと、その嘔吐を止める必要が無いと言う事はお分かりいただけると思います。確かに吐いている姿は辛そうですし可哀想に思います。ですが、その嘔吐を止める為に、食事回数を増やしたり、寝る前に夜食を与えたりする事で、胃の中の掃除をするタイミングが失われてしまう事と、胃の中に食べ物があると、尿のpHはアルカリ性に傾く為、食事回数を多くしたり、寝る前に夜食を与える行為は、尿のアルカリ化が原因で起こる膀胱炎やストルバイト結石の発症のリスクを高める事にも繋がります。但し、あまりにも頻繁に空腹時の嘔吐を繰り返す場合は、胃液の分泌を抑える目的で消化酵素サプリメントをご利用ください。くれぐれも空腹時を減らすような対策はしないようにお願いします。但し、胃液を吐いた後に食欲不振に陥った場合は、異物の誤飲などによる食道炎の可能性があります。また、嘔吐した胃液に茶褐色や黒色の液体が混じっている場合は、胃や食道からの出血の可能性がございます。もちろん鮮血が混じる場合もありますが、茶褐色や黒色の血液が混じっている場合は特に要注意です。そのような際は早急に動物病院にて診察をお願いします。最後に余談ですが、この胃の中の掃除の時間を作る事が出来ていないと便秘になりやすいです。胃の中に食べ物がある状態では腸の働きが鈍くなります。腸の働きが鈍くなると当然ですが便秘になります。人間も同様ですが、食べ過ぎや不規則な食生活にはくれぐれもご注意ください。


食べない原因は歯が痛い?
初めて犬や猫と暮らす方なら驚かれる方もおられると思いますが、犬や猫は生後3ヶ月頃から人間同様に乳歯が抜け始めて永久歯に生え変わります。但し、人間のように、乳歯が抜けた後から永久歯が徐々に生え出すわけでは無く、生え出して来た永久歯に押し出されるようにして乳歯が抜け落ちますので、人間の子供に見られる「歯抜け」の状態はあまり気になりません。また、その習性から、乳歯が抜けていない状態で永久歯が生えてしまい、その後も乳歯が抜け落ちずに乳歯と永久歯が重なり合って生えてしまう状態に陥る事があります。これを「乳歯遺残」や「残存乳歯」などと呼びますが、殆どの場合はその後に乳歯のみ抜け落ちてくれます。ですが、いつまでも乳歯が残ってしまう場合もありますので、その際は動物病院にて全身麻酔をして抜歯をしてもらう事が多いです。また、抜けた乳歯は食事の際などに飲み込んでしまう事が多いので、乳歯から永久歯に生え変わった事に気付かない方も多いです。また、その歯の生え変わりの時期に食欲が落ちる事がありますが、それは歯の生え変わりが原因で歯が痛いからと言うよりも、飼い主様も犬や猫との生活に慣れ始め、ついついおやつの量が増えてしまったり、食事の際に「これなら大丈夫かな」と言ったおかずをつまみ食いさせてしまったりする事による、「食生活の乱れ」が原因になっている事の方が多い気がします。




食べない原因は発情期?
犬や猫は生後3ヵ月~6ヶ月頃より発情が始まります。雄犬の場合は生後3ヵ月頃からクッションや飼い主さんの足をつかまえて腰を振るようになり、雌犬は生後6ヶ月頃に初めてヒート(生理)がきます。陰部の膨らみや乳房の膨らみ、出血などの症状が見られます。また、雄猫の場合は、雄犬同様の仕草が見られたり、お尻を高く上げて尿を撒き散らすなどの行動が見られます。雌猫の場合は、雌犬と違って生理はありません。ですが、大きな声で鳴いたり、体をすり寄せて来たり、トイレ以外での排尿などの行動が見られます。これらの時期になると、発情が原因で精神的に不安定になったり、ストレスによって食欲が落ちる事があります。ですが、その時に嗜好性の高いトッピングをしたりなどで無理に食べさせようとする必要はありません。と言うよりも、そのような事はしてはいけません。発情が原因で食欲が落ちていても、数日で発情が収まり食欲は戻ります。その時に余計な事をすると、トッピングをしないと食べない子になったり、フードの食いつきが悪くなったりします。その心配をするのが嫌であれば、去勢手術や避妊手術をして発情が原因の食欲減退を回避してあげてください。




ますます増えて来たのでご注意ください!
当コラムでは幾度となく注意喚起を行っておりますが、猫ちゃん大好き「ペースト状のおやつ」。最近は無添加の「●●ピューレ」と言った製品も増えてきており、残念ながら無添加のプレミアムフードメーカーもペースト状のおやつ市場に参入してきております。その結果、無添加のプレミアムフードのみを販売なされている優良店でも、ペースト状のおやつが販売されるケースが目立ってきております。確かに、スーパーやホームセンターで良く見かけます添加物たっぷりのペースト状のおやつに比べますと安心感はあると思いますが、主食(フード)の食い付きへの影響は大して変わりません。添加物が含まれていようが、無添加であろうが、ペースト状のおやつの与え方や与える量を間違えると、必ず主食(フード)の食い付きが悪くなります。絶対に与えてはいけないとは言いませんが、出来る限り与えない方が良い類の製品であると言う事は覚えておいてください。

「無添加の安心なおやつしか与えていないのに、主食(フード)の食いつきが悪いのは何故?」

って事にならないようにくれぐれもご注意ください。無添加であるかどうかは関係ありません!