2023年4月


このコーナーではわたくし「店長」が、皆様に知っていただきたい情報などを配信してまいります!

更新は不定期ですが是非お楽しみください!!

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元気や食欲があっても検査をお願いします!
愛猫が10歳。皆さんはどうお感じになられるでしょうか?「もう10歳」「まだ10歳」どっちでしょうね。可愛い愛猫の事を想うと両方の感情がこみ上げてくるのでは無いでしょうか。ひと昔前だと10歳は老猫と言う感じがあったかも知れませんが、現代では10歳だとまだ老猫どころか高齢期にも差し掛かっていない位と感じられる方も多いかと思います。でも実際は、やはり若い頃とは同じ身体ではいられないのです。見た目はまだまだ若くても少しずつですが徐々に身体は衰えてきます。その第一歩となるのが甲状腺ホルモンの過剰分泌によって起こる甲状腺機能亢進症の発症です。典型的な症状は「良く食べているにも関わらず体重が落ちる」「落ち着きが無くてよく鳴く」、この2点でしょうか。他にも多飲多尿や嘔吐なども見られる事がありますが、これは他の疾患でも見られる事がある症状ですので、あまり参考にはならないと思います。ですので、元気や食欲があったとしても安心は出来ません。10歳近くになった際は甲状腺ホルモンの測定を是非お願いします。




検査は簡単!まずは動物病院へ。
甲状腺ホルモンの測定は多くの動物病院で簡単に行う事が出来ます。通常の血液検査と同様に採血をして、院内にある検査機器で測定をします。待合室で待っている間に検査結果は出ると思います。費用もそれほど高額ではありませんので、気になる症状が無くても愛猫が10歳近くになれば定期的に検査しておくのも良いかも知れません。また、その際には通常の血液検査も同時に行う事をおすすめ致します。いわゆる生化学検査です。肝臓や腎臓の状態を調べる事が出来ます。もしも、甲状腺機能亢進症を発症していればALP(アルカリホスファターゼ)の数値の上昇が見られると思います。ですが、腎臓の状態を調べる事が出来る項目であるBUN(尿素窒素)とクレアチニンは正常値である事が多いです。しかし安心してはいけません!甲状腺機能亢進症を発症していると、腎臓への血流量が多くなり、あたかも腎臓が元気であるかのような検査結果となってしまいます。ですので、甲状腺機能亢進症の治療を投薬によって開始すると、徐々に腎臓への血流量が少なくなり、腎臓の数値が上昇して腎臓病が表面化してくる事があります。ですので、甲状腺ホルモンの数値が下がれば腎臓の数値が上がると言った感じになるケースが多いので、甲状腺ホルモンの測定と生化学検査は同時に行うようにお願いします。




食事療法は腎臓病を優先してください!
甲状腺機能亢進症の治療としては甲状腺ホルモンを抑制する薬の投薬が大切です。ヨウ素を制限した食事による食事療法をお考えになられる方もおられますが効果は限定的ですし、そもそもヨウ素の含有量を公表していないフードメーカーが多いので、低ヨウ素のフードを探す事も非常に困難です。また、キャットフード(ドライフード)に含まれるヨウ素の平均的な含有量は「1mg/kg」程度で、多くて「2mg/kg」程度。1kg当たりに1mgなので非常に微量です。10g当たりに換算すると0.01mgしか入っておらず、パーセントに直すとたったの0.0001%です。しかし、おやつや缶詰で魚介類を与えてしまうとヨウ素を沢山摂取する事になってしまいますので要注意です。特に甲状腺機能亢進症と診断され、ドライフードとウエットフードを併用している場合は、チキンやビーフなどの肉系の製品を使うようにお願いします。そして、主食となるドライフードはヨウ素の含有量は重要視せずに、腎臓への負担が軽減されている腎臓ケアのフードを与えるようにお願いします。こちらはたんぱく質やリンが制限されており、制限されていないフードに比べますと数値的にも大きな違いがございます。よって、愛猫が10歳近くになり、甲状腺機能亢進症の診断を受けた際には、甲状腺ホルモンを抑制する薬による治療と、腎臓をケアする食事のご利用をお願いします。


症状が無くても結晶は検出されます!
以前のコラムにも同じような事を書いた事があるようにも思うのですが、ストルバイトの結晶についてお話をします。犬でも猫でも同じですが、ストルバイトの結晶が見つかるケースとしては大きく分けると2通りあると思います。まずひとつは、尿の出が悪くなったり、血尿が出たりした為に動物病院で受診をし、尿検査の結果ストルバイトの結晶が見つかるケースと、もうひとつは定期的な健康診断やワクチンの接種などで病院へ行き、ふとした尿検査によって予想もしなかったストルバイトの結晶が見つかるケース。前者の場合は、症状から予測が可能なので尿検査を受ける前からストルバイト結石の疑いがある旨を獣医師から説明を受けていると思われますが、後者の場合は飼い主様としても全く予想もしていなかったと思いますので、とても驚かれると思います。そして、どちらのケースも獣医師から「このフードしか与えてはいけません!」と言う感じで療法食の紹介を受ける事になると思います。ですが、特に困った症状が出ていない後者の場合も療法食を与える必要があるのでしょうか?




出来るのは問題では無くて溶けないのがダメ!
結論から申しますと、特に困った症状が出ていなければ療法食を与える必要はありません。ある程度の注意は必要ですが、ストルバイトの結晶は出来てしまう事に問題がある訳では無く、出来てしまった結晶が溶けるタイミングが無くて、大きな塊になってしまうのが問題です。実際に、尿検査でストルバイトの結晶が検出されているにも関わらず、血尿や頻尿の症状が出ていないと言う事は、結晶が作り続けられているわけでは無く、作られたり溶けたりを繰り返している状態だと考えられます。ですので、このような時はストルバイトの結晶が溶ける時間帯をしっかりと作る事が大切です。もちろんストルバイトの結晶が作り出される事が無ければ何の心配も無いのですが、実は何事も無く健康に過ごしている子でも、食後の一時的にストルバイトの結晶が作り出されている事は決して珍しくは無いのです。頻尿や血尿の症状が無く、尿検査を受けていなければストルバイトの結晶が作り出されている事に気づく事が出来ないですからね。そのような子の場合は、長時間の空腹時間をしっかりと確保出来ているので、ストルバイトの結晶は溶けてくれて大事には至っていないと言う訳です。このように、ストルバイトの結晶は作り出される事が問題なのでは無く、溶ける時間を確保出来ない事が症状の悪化に繋がりますので、食事の回数を1日2回に限定し、間食を控えて長時間の空腹時間を作る事が大切となります。




心配し過ぎる必要は無いので焦らないで!
特に困った症状(頻尿や血尿など)が出ていなければ尿検査でストルバイトの結晶が見つかっても焦る必要はありません。たまにペットシーツにキラキラした物を目にする事もあるかと思いますが、それもおそらくストルバイトの結晶でしょう。そんな時も症状が出ていなければ焦って受診する必要はありません。まずは、しっかりと空腹時間を確保してあげてください。ついつい間食を与えてしまっている場合はそれを止め、食べ残しを置きっぱなしにしていればそれも止めて、朝晩2回の食事の時間帯以外は何も食べさせないようにしてあげてください。また、ご利用中のフードを見直す必要がある場合もありますので気になる方はご相談ください。また、一度ストルバイトの結晶が尿検査で見つかったとしても、頻尿や血尿などの症状が見られないようであれば再検査の必要はありません。検査の為に動物病院に出向く方が犬や猫にとっては余計なストレスが掛かってしまう事も考えられます。心配し過ぎるよりも、まずはしっかりと空腹時間を確保する事を心掛けていただく事が何よりも大切です。その為にも、好き嫌いをさせずに朝晩2回の規則正しい食生活が出来るように育ててあげてくださいね。それが出来るか出来ないかは飼い主様次第ですよ。宜しくお願い致します。