2024年2月


このコーナーではわたくし「店長」が、皆様に知っていただきたい情報などを配信してまいります!

更新は不定期ですが是非お楽しみください!!

2



ストルバイトと膀胱炎の関係性。
前回のコラムの最後に「ストルバイトと膀胱炎は原因が同じなのですから。」と書きましたが、まずはその点から解説をしたいと思います。ご覧になられていない場合は先に前回のコラムからお願いします。

ストルバイトの原因と予防について 第一章

ストルバイトの根本的な原因は尿のアルカリ化(正常時は酸性を示す尿のpHがアルカリ性に傾く事)です。
また、膀胱炎の原因も同じく尿のアルカリ化です。何故、酸性であるべき尿がアルカリ化するかは後ほど説明をしますが、尿のpHが7.5程度までに上昇(アルカリ化)すると、尿中のマグネシウムやリンなどのミネラル成分が結晶化してストルバイトの結晶が作り出されます。
また、尿がアルカリ化しますと、尿中に細菌が繁殖しやすくなります。特に多くの細菌がpH7.5程度の弱アルカリ性の環境を好みますので、尿のpHが弱アルカリ性を示すタイミングで膀胱炎を発症するケースが多いです。
まさに犬や猫がストルバイトを発症しやすい尿の環境と一致する為、ストルバイトと膀胱炎の併発が多く見られると言う事になります。
但し、更にpHが上昇しますと、細菌は死滅して膀胱炎の症状は改善に向くケースが多いです。ですが、ストルバイトはpHが上昇すればするほど悪化しますので、ストルバイトが重症化していくにつれて膀胱炎の併発は少なくなっていきます。
このような仕組みで、ストルバイトと膀胱炎の併発が多く見られるが為に、ストルバイトの原因が細菌感染(膀胱炎)であると言う説も存在しますが、その考え方は正しくありません。ストルバイトの原因が膀胱炎の発症ではありませんし、膀胱炎の原因がストルバイトの発症でもありません。原因が同じではありますが、どちらかがどちらかを誘発していると言うわけではありません。
と言う事で、本来は酸性を維持しないといけない尿のpHがアルカリ性に傾く事によって、ストルバイトや膀胱炎を発症すると言う流れになります。それでは何故、尿がアルカリ化するかを説明していきたいと思います。




尿がアルカリ化する原因。
犬や猫の尿のpHですが本来は酸性です。
但し、食べ物を食べると胃酸が分泌され、胃酸が分泌されると尿がアルカリ性に傾くと言ったシステムになっています。特に食べ物に含まれるたんぱく質の分解に胃酸を多く必要とする為、たんぱく質の多い食事を摂取すれば胃酸の分泌量も多くなり、尿のpHは大きくアルカリ性に傾く事となります。
ですので、食事を摂る前の空腹時には酸性であった尿のpHが、食事を摂る事によってアルカリ性に傾きます。また、その傾き具合も、たんぱく質の摂取量が多ければ多い程、大きくアルカリ性に傾きます。
そうなると、食事を摂る事自体がストルバイトや膀胱炎の原因になるとお思いになられる方もおられると思いますが、当然の事ながら食事を摂らないと生きてはいけません。また、食事を摂った後、時間が経過して胃の中が空っぽになると、胃酸の分泌が治まり、尿のアルカリ化はストップして、尿のpHは徐々に酸性に戻って行きます。
ですので、食事を摂る際のポイントは2つあり、1つはたんぱく質を摂取し過ぎない事。その為には、高たんぱくなフードを与えない事と、食事の量を与え過ぎない事が大切です。
また、もう1つのポイントは食事と食事の間の時間をしっかりと空ける事です。

ここで少し具体的な数字を使って説明をしますと、本来あるべき尿のpHは犬猫共に6.0前後です。ですが、食事を摂ると胃酸が分泌されて、一時的に尿のpHは7.0程度まで上昇します。しかし、数時間後には胃が空っぽになり、尿のpHは食事前の6.0前後まで下がってきます。そして、尿のpHが6.0前後まで下がった状態で次の食事を迎える事が出来れば、これの繰り返しとなり、尿のpHが7.5以上になる事は無く、ストルバイトや膀胱炎の発症を抑える事が出来ると言う訳です。

ですが・・・・。

今回はここまでとなり、次回のコラムではストルバイトや膀胱炎を発症させてしまうケースについて説明をしたいと思います。

続きはこちら


まずはストルバイトとは?
当コラムでは過去にも幾度と無くストルバイトについてお話をして来ましたが、今回はストルバイトの原因から予防法までを徹底的に詳しく説明をしたいと思います。とても長くなりますので、数回にわたってお話をする事になるかと思います。最後までご覧いただけますと幸いです。

初めに、そもそもストルバイトとは何かと言いますと、ご存知の方も多いと思いますが、犬や猫の尿中に含まれるマグネシウムやリンなどのミネラル成分が膀胱や尿道などで結晶化して、血尿や排尿障害などの症状の原因となったり、重症化すると結晶が結合しあって結石となり、尿道を塞いでしまう恐ろしい下部尿路疾患の要因となる物質の名称です。病院や獣医師によってはストラバイトと発音する事もありますが同じです。また、今ではあまりの発症数の多さから、物質の名称と言うよりも「ストルバイトと診断されました」や「ストルバイトを患いました」などのように、病名として使用される事も多くなっていると感じます。当コラムでもそのような表現を使用する事もあるかと思いますが予めご了承ください。

それでは、実際にどのような子(犬や猫、年齢など)に注意が必要になる疾患かと言いますと「全員」です。「犬より猫の方がなりやすい」や「メスよりオスの方が注意が必要」や「1歳以上に発症する疾患」などと言われる事がありますが、年齢や性別は全く関係がありません。犬より猫の方がなりやすいと言う事もありません。生後数ヶ月の子犬や子猫でもなる場合があります。但し、正しい統計ではありませんが、ストルバイトを患う頭数は犬より猫の方が多いかと推測が出来ます。この理由につきましては後ほど詳しく解説をしたいと思います。また、犬の場合は大型犬よりも小型犬の方が多いと思います。これにも明確な根拠があり、今回のコラムを全てご覧いただいた際にはご納得いただけるかと思います。それでは、何故ストルバイトになるのかを詳しく説明をしていきたいと思います。




ストルバイトの原因は何?
多くの動物病院や媒体ではストルバイトの原因を次のように述べているケースが多いです。

「体質」「飲水量が少ない」「マグネシウムやリンなどのミネラル成分の摂取過多」「運動不足」「細菌感染」「排尿回数が少ない」などなど。

ですが、残念ながら全部違います。
体質は関係ありませんし、水を飲む量も関係がありません。水を飲む量が少なくてもストルバイトにはなりませんし、水を沢山飲んだとしてもストルバイトの予防にはなりません。
また、マグネシウムなどのミネラルを沢山摂取してもストルバイトにはなりませんし、ミネラルを制限してもストルバイトの予防にはなりません。但し、ミネラルを全く摂取しなければストルバイトにはなりませんが、良好な健康状態は維持出来ません。
尚、水を沢山飲みますと当然ですが尿量は増えますので、膀胱内や尿道にあるストルバイトの結晶は排泄される尿と一緒に体外に排出されやすくはなりますが、ストルバイトの生成自体が抑制されるわけではありませんので根本的な解決策にはなりません。家中に飲み水(水の入ったお皿)を配置したり、流れる水が演出出来るフィルター付きの給水器を使用して飲水量を増やそうと努力をなされる方がおられますが、残念ながらストルバイトの予防にはなりません。
また、排尿回数が少なくてもストルバイトの原因にはなりません。逆に排尿回数が少ないのは良い事です。頻繁に尿意を感じてトイレに行って排尿の仕草をするが、尿が出ない(頻尿)のは問題ですが、トイレに行く回数が少ないのは不必要な尿意が無い証拠なので何ら心配は要りません。
水の飲む量が少ない事や、排尿の回数が少ない事を心配なされる方がおられますが逆です。飲水量が多かったり、排尿回数が多いのは何らかの健康上の事情(トラブル)が考えられますので多飲多尿の症状がある場合は注意が必要です。
また運動不足も関係がありません。ただ、ひとつだけ惜しいのが「細菌感染」です。いわゆる膀胱炎です。「ストルバイトを発症している多くの犬猫が膀胱炎を併発している」と良く言われるのですが、当然です。ストルバイトと膀胱炎は原因が同じなのですから。なので、頻尿の症状が見られる際に、動物病院で尿検査をするとストルバイトの結晶が見つかるのです。この場合の頻尿の原因はストルバイトでは無く膀胱炎です。

今回はここまでとなります。次回のコラムでは、ストルバイトと膀胱炎の原因を詳しく説明していきます。

続きはこちら