2024年4月


このコーナーではわたくし「店長」が、皆様に知っていただきたい情報などを配信してまいります!

更新は不定期ですが是非お楽しみください!!

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缶詰(ウエットフード)は低たんぱくですよね?
前回のコラム(ストルバイトの原因と予防について。膀胱炎も。 第五章)で下記のように書きました。

ドライフードに含まれるたんぱく質20%とウエットフードに含まれるたんぱく質10%では、ウエットフードの方が高たんぱくになります。これは製品に含まれる水分量が関係しており、ウエットフードは意外と高たんぱくな食事である事の認識が必要です。

この件について何人かの方からお問い合わせをいただきましたので解説をしたいと思います。

ドライフードに含まれるたんぱく質が20%で、ウエットフードが10%だとすると、ドライフードはウエットフードの2倍のたんぱく質が含まれているように見えますが、実際はそうではありません。その理由は水分量です。
ウエットフードに含まれる水分が全体の約80%に対し、ドライフードに含まれる水分は全体のたった10%程度です。その水分を除去した状態で比較すると、ドライフードの場合は約22%がたんぱく質で、ウエットフードの場合は約50%がたんぱく質となります。よって、ドライフードよりもウエットフードの方が高たんぱくな食事であると言う事を意識してご利用いただきたいです。
但し、たんぱく質含有量が少ないウエットフードもありますので、たんぱく質の摂取量を控えたい場合は、成分値をしっかりと確認をしていただいた上で、ウエットフード選びを行っていただければと思います。




糖質を制限したいのであればウエットフードを!
たんぱく質の摂取を制限するにはドライフードの方が有効ですが、糖質の摂取を制限するにはウエットフードがおすすめです。ドライフードは全体の約30%が炭水化物であり、糖質を多く含む事が分かります。ちなみに炭水化物とは糖質と食物繊維を合わせた総称ですので、「糖質+食物繊維=炭水化物」となります。
よって、全体の80%が水分であり、残りの20%がたんぱく質や脂質、繊維質で構成されているウエットフードは、炭水化物の含有量が少なく、低糖質食となりますので、糖質を制限したい時の食事としてはおすすめとなります。
但し、低炭水化物の食生活は健康維持や免疫力向上に役立つ食物繊維の摂取不足になりがちですので、別途サプリメントなどで食物繊維の補給を心掛けいただく事をおすすめ致します。ちなみに、成分表示にある「粗繊維」は食物繊維の含有量を表した項目ではありませんのでご注意ください。




ドライフードとウエットの量の違いは?
お悩みになられる方が多いのが、ドライフードとウエットフードの与える量の違いです。
例えば、今までドライフードを1日に40g与えていたとします。その一部をウエットフードに変えたい場合には、ドライフードを減らした3~4倍程度のウエットフードを加えるようにお願いします。具体的には、1日40g与えていたドライフードを1日30gに減らした場合は、減らした10gの3~4倍に当たる30g~40g程度のウエットフードを加えるようにお願いします。もちろん製品の違いや、ご愛犬やご愛猫の体調などによっては微調整が必要になってくる場合がございますが、おおよその目安としては、それ位の量でご利用いただければ結構です。宜しくお願い致します。


これを守ればストルバイトと膀胱炎は予防出来ます!
4回にわたってストルバイトと膀胱炎についてお話をしてまいりましたが、今回は最後のまとめとして、「これを守ればストルバイトと膀胱炎は予防出来ます!」と言う食事の与え方をご紹介したいと思います。

前回のコラムはこちらからどうぞ。
ストルバイトの原因と予防について。膀胱炎も。 第四章

今現在、ストルバイトや膀胱炎を発症しているか否かによっても対応が多少は異なりますが、ストルバイトや膀胱炎の心配や不安があるようであれば、まずはたんぱく質の摂取を控えた食生活をお願いします。ドライフードであれば、高齢用や結石予防のフードでお探しになられると良いです。この場合、「うちの子はまだ若いから高齢用では無く、結石予防のフードにしよう!」となる方がおられますが、高齢用よりも結石予防のフードの方が栄養バランスが悪い事が多いです。
特に犬の場合、症状の程度にもよりますが、まずは高齢犬用のフードをご利用いただき、良い結果が出ない場合は結石予防のフードをご利用いただく事をおすすめ致します。可能であれば結石予防のフードは使用せずに高齢犬用のフードをご利用いただく方が身体への負担は軽いです。但し、全ての高齢犬用のフードがストルバイトや膀胱炎の解消や予防に適しているわけではありませんのでくれぐれもご注意ください。
猫の場合、まずは結石予防のフードで1日2回の食事を徹底し、ダラダラとした食生活からの脱却をお願いします。

また、「結石予防のフードの場合は療法食の方が良いですか?」と言うお問い合わせを多く頂戴しますが、「結石予防の療法食」には何の定義も条件もありません。発売メーカーが「我が社のこの製品は結石予防の療法食です!」と言えば「結石予防の療法食」になります。ですので、「結石予防の療法食」と謳っている製品の中には、「えっ!これで結石を予防出来ると思っているの?」と言う内容のフードもあります。これは結石予防に関してだけでは無く、他の療法食にも言える事です。言い方は悪いですが、療法食と言う言葉は飼い主様の弱みにつけ込んで商売が出来るとても便利な言葉です。なので、療法食と言う文言にとらわれず、内容を吟味してフード選びが出来る知識を養う事が大切です。本来は、ペットショップの店員や動物病院の関係者が最低限身につけるべき知識なのですが、残念ながら現実はそうではありません。なので、動物病院で勧められたからと言って、正しいフード選びが出来ているとは限りません。

話を戻しますが、ストルバイトや膀胱炎が気になる場合は、ある程度たんぱく質を制限したフードを1日2回与え、食べ残しがあってもお皿は5分程度で下げて、次の食事までは何も与えないように徹底してください。もちろん間食は与えずに、1日2回の食事ですので、食間の約12時間はしっかりと空腹時間を確保して、尿の酸性化に努めるようにお願いします。また、消化を促進する目的で消化酵素の補給もお願いします。消化酵素の補給には消化酵素サプリメントをご利用いただきたいのですが、消化酵素サプリメント自体にたんぱく質を多く含む製品もあり、そのような製品はこのケースでは不適切となりますのでご注意ください。また、水分やマグネシウムの摂取量は気にする必要はございませんので過度な心配は不要です。

そして、今までの甘やかしが原因でドライフードのみだと食べが悪いからと言って、たんぱく質を制限したフードに鶏のササミや胸肉、馬肉などをトッピングする方がおられますが、折角のたんぱく質を制限したフードが台無しです。どれだけ食い付きが悪いとお感じのフードでも我慢をさせれば食べます。どうしても我慢をさせる事が出来ない場合は、たんぱく質を制限したウエットフードを少量加えてお与えください。
その際に注意が必要なのが、ドライフードとウエットフードの成分値を同じように考えてはいけません。ドライフードに含まれるたんぱく質20%とウエットフードに含まれるたんぱく質10%では、ウエットフードの方が高たんぱくになります。これは製品に含まれる水分量が関係しており、ウエットフードは意外と高たんぱくな食事である事の認識が必要です。

最後に、食べさせる量です。大半の飼い主様が食べさせ過ぎです。第4章でも書きましたが、パッケージ記載の量や必要摂取カロリーなどは気にせずに、痩せ過ぎない量、そして太らない量を食べれば良いのです。食べる量が少なければ少ない程、尿のpHは安定してストルバイトや膀胱炎の予防になります。逆に、食べれば食べるほど尿はアルカリ化します。あとはいかに厳しく且つ規則正しく出来るかです。ストルバイトや膀胱炎は、飼い主様の誤った飼い方によって、甘やかした食生活によって発症すると言っても過言ではありません。くれぐれもご注意ください。

5回にわたってストルバイトと膀胱炎についてお話をしてまいりましたが以上となります。
長文にお付き合いいただきありがとうございました。