コラム


このコーナーではわたくし「店長」が、皆様に知っていただきたい情報などを配信してまいります!

更新は不定期ですが是非お楽しみください!!

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食べない子にしてしまったのは誰?
国産のフードの宣伝文句に多いのですが「偏食の子も大喜び!」「小食な子も飛びつく美味しさ!」「好き嫌いの激しい子でも食べる!」などなど。
ご自身のスマホのブラウザアプリでインターネットを閲覧している際に、このような謳い文句のフードを紹介しているサイトに辿り着いたり、広告が目立つようになる原因は、「犬 食べない」や「キャットフード 飽きる」「良く食べるドッグフード」「食いつきの良いキャットフード」などのキーワードによる検索履歴があるケースが多いです。
と、言う事は愛犬や愛猫の食生活にお悩みがあると言う事でしょう。「どうしてうちの子は食べないの?」「何故この子は食べ物に興味を持たないの?」「においを嗅ぐだけで食べないのはどうして?」などと。
調べても調べても答えが見つからないとお思いの方にズバリ言います。その答えは「あなたです!」
前回のコラムでも同じような事を言いましたが、食べない原因は過度な心配をして余計な手助けをするからです。




知らないうちに原因を作ってしまっています!
愛犬や愛猫が「偏食の子・小食な子・好き嫌いの激しい子」である原因は飼い主です。間違った飼い方が原因です。
もちろん、わざとそのように育てたおつもりが無いのは重々承知しています。でも原因がご自身にある事はしっかりと認識する事が大切です。
例えば、「トイレを成功する度におやつを与えていませんか?」「家を出る前におやつを与えていませんか?」「寝る前に夜食を与えていませんか?」「水分補給を目的にミルクを飲ませていませんか?」「欲しがるからと言っておやつを与えていませんか?」「食べない事を心配し過ぎていませんか?」「食べ残しのお皿を下げずに置きっぱなしにしていませんか?」
言い出すとキリが無いのですが、生き物である以上、自分の命に危機を察すると必ず食べるのです。目の前に食べ物があるのに餓死する生き物はいません。(もちろん体調不良時は除きます。)
体調が悪くて食べる事が出来ない時以外は必ずお皿の中身を見に来るはずです。それで食べないのは食欲不振では無く間違った飼い方が原因となって食に対してわがままになっているだけです。




何でも食べる子は長生きな子が多い!
30年以上この仕事をしていて感じるのは、「好き嫌いをせずに何でも食べる子は長生きする」と言う事です。
好き嫌いをしないで何でも食べると言う事は、余計なトッピングなどをしなくてもしっかり食べてくれるので、栄養バランスの良い食事を摂る事が出来ます。また、好き嫌いが無いと言う事は、無駄なおやつやご褒美を与えていない証拠でもあります。
結果、朝晩2回の食事をしっかりと食べて、食事以外の時間帯は胃を休める事によって腸の働きが良くなります。
腸の働きが良くなると腸内環境が整って免疫力の向上に繋がります。
逆に、食べない事を心配し過ぎて、余計なトッピングをする事で食事中の栄養バランスが乱れて内臓に負担が掛かったり、食べが悪い事を理由に何回も食事や間食を与える事で腸内環境が悪化して免疫力が低下します。
どちらの方が長生き出来そうかはお分かりいただけますよね。
今からでも遅くはありません。規則正しい食生活をおすすめします。


余計な事をするから食べないのですよ!
これめちゃくちゃ多いです。フードだけでは食べないからトッピング。同じトッピングを続けると食べないから味変。味変をしても食べないから置きエサに。置きエサをしても食べないから好きなおやつで栄養補給。そりゃ病気になりますよね。ストルバイトやシュウ酸カルシウムなどの尿路結石になる犬猫の多くはこのパターンです。
はっきり言って、完全に飼い主の責任ですからね。このような飼い方をされた犬猫達は被害者ですよ。この結果、血尿が出たり尿閉(尿路閉塞)に陥ったりと。可哀想に。。。
このような方に限って「うちの子は好き嫌いが激しいから」「食が細いから」「お腹が空き過ぎると吐くから」「水を飲まないから」「足にまとわりついてうるさいから」などの言い訳ばっかり。
余計な事はせずに毎日朝晩2回同じフードを差し出す。食べなくてもお皿は5分程度で下げる。朝晩2回の食事以外は何も与えない。食べない事を心配し過ぎない。たったこれだけ!




水を飲まないのは飲む必要が無いから!
いつも言っていますが、犬猫が水を飲まないは身体が必要としていないからです。必要があれば無理矢理飲まさなくても自ら飲みます。
それなのに、水を飲まない事を心配して「鶏スープ」や「カツオだし」「ヤギミルク」「ち●ーる」「煮野菜」「果物」などを与えて強制的に水分補給。
その結果、食事の食い付きが悪くなったり、食間の無駄な栄養補給によって尿のpHが乱れて膀胱炎や尿路結石に。
逆のパターンもありますね。膀胱炎や尿路結石を繰り返すので獣医師の指示通りに水分補給。真水では飲む量を増やせないので味を付けて水分補給。結果、病状は悪化もしくは改善の兆し無し。そりゃそうですよ。
そもそも膀胱炎や尿路結石の原因は水分摂取不足ではありませんし、水分摂取量を増やしても膀胱炎や尿路結石の解消には繋がりません。
余計な事はせずに、朝晩2回の食事以外は何も与えずに、水は常に飲む事が出来るようにしておくだけで大丈夫です。




1日2回の食事を徹底すれば吐きません!
1日2回の食事を推奨すると「うちの子は1日2回だと空腹時に吐くので。。。」と言う方がおられますが、結論から言うと吐きません!
日頃から食事以外の時間におやつを与えたり、だらだらとした食生活を行っていると、朝方などの空腹時間に胃液や胆汁を吐く子がいます。これは否定しません。
ですが、それは日頃からの食生活が乱れているのが原因です。ですので、1日2回の食生活が習慣となれば、朝方や夕方などの空腹時間に吐く事は無くなります。
その習慣が身に付く前に空腹時の嘔吐を怖がって、一日に何度も食事を与えてしまっていると、いつまで経っても1日2回の食生活を実践する事が出来なくなります。
そうしているうちに、尿の出が悪くなったり、血尿が出るようになったり、体重をコントロール出来ずに太らせてしまったりと。身体を壊してから後悔しても遅いですよ。
まずは空腹時の嘔吐を怖がらずに1日2回の食事を徹底してください。簡単な事ですよね。1日2回食事を差し出すだけ。余計な事をしなければ良いだけです。宜しくお願いします。


何故そんなにうるさく言うと思いますか?
どれだけ健康な子でも食事は1日2回。食べ残しがあってもお皿は5分程度で下げる。お皿を出しっぱなしにしない。
また、一度下げたお皿は再度差し出さない。例えば、食べないと思ってお皿を下げたけど、その後に戻って来てお皿を探しているのでもう一度お皿を出してあげる。このような事はしてはいけません。
他には、フードを残してベッドに移動したので、お皿をベッドの近くまで持って行ってあげるような事もしてはいけません。もちろん手のひらにフードをのせて食べさせてもいけません。
とにかく食生活において甘やかさない事が大切です。1日や2日程度、満足に食べなくても問題ありません。それよりも余計な手助けをして、「好きなフードしか食べない」「小粒しか食べない」「フィッシュ系のフードしか食べない」「一気に沢山の量を食べない」「時間を掛けないと食べない」のような子に育ててしまうと必ず後悔をする時が来ます。絶対に困る時が来ます。何故、そんな事が言えるかと言うと、後悔をしたり困ったりした飼い主さんを何百、何千と見て来たからです。




実際にどのような時に困るの?
少し話が逸れますが、食事療法と言っても病院の療法食を食べる事だけが食事療法ではありません。
また、療法食と言うワードを過信し過ぎている方が多いのも気になります。療法食には何の基準もありませんので、中身をしっかりと吟味して使用しないと何の効果も得られなかったり、逆に病状を悪化させてしまう事もありますし、名ばかりの療法食も少なくはありません。
病院が推奨する療法食を食べさせているから、これ以上に症状が重くなる事は無いだろうと考えるのは非常に危険です。
話を戻しますが、犬や猫の病気には薬では治す事が出来ず、食事による治療が必要なケースも多いです。
それが食事療法ですが、食事療法を成功させる大前提として、適切なフードを食べて貰わないと治療を進める事は出来ません。
その為には好き嫌いをしない食生活を常に心掛ける事がとても大切となってきます。
「今回の検査結果ならこのフード」「現在の体調ならこっちのフード」のように。
味や粒の大きさや形状で食べる食べないを言っていてはこのような事は出来ませんので、健康な時から甘やかさずに何でも食べる子に育てる事が大切です。
その為には1日2回の食事を徹底し、食べない時でも余計な手助けをしない。これが本当に大事です。




長生きして欲しいなら我慢して!
これだけ言っていても1日2回の食事の徹底が出来ない人が多いです。食べ残したお皿を下げる事が出来ない人が多いです。おやつをやめる事が出来ない人が多いです。
「子供の頃からの習慣なので・・・。」と言う方がおられますが、3日も我慢すれば1日2回の食事及び間食無しの食生活が習慣となります。
1日2回しか食事を与え無ければそれが習慣となります。間食を貰えない生活が続けばそれが習慣となります。それが出来るか出来ないかは人間側の問題です。
結局は我慢をしないといけないのは犬や猫では無く飼い主側です。
我慢を出来ない程に可愛がっているのは分かっています。愛おしいのも分かります。
でもその愛情の掛け方は間違っています。長生きして欲しいなら我慢してあげてください。
いざと言う時の急な食事療法の実践が本当に役立つ時が来るのです。それによって命を守る事が出来る時が来るのです。
宜しくお願い致します。


蛋白漏出性腸症って?
「たんぱくろうしゅつせいちょうしょう」と読みます。蛋白喪失性腸症(たんぱくそうしつせいちょうしょう)とも呼ばれます。
発症の原因は幾つか考えられますが、腸からたんぱく質が漏れ出てしまう為に、血液中のたんぱく質が低下してしまう文字通りの疾患です。
結果、低たんぱく血症や下痢、軟便、浮腫、腹水、食欲不振、体重減少などが見られます。
また、蛋白漏出性腸症の診断を受けた際に、炎症性腸疾患(IBD)やリンパ管拡張症の指摘を受ける事も多いですが、基本的な原因は同じと考えて良いと思います。
それでは、その基本的な原因とは何なのかを考えて行きましょう。




蛋白漏出性腸症の原因は?
表現が難しいのですが、炎症性腸疾患(IBD)やリンパ管拡張症などを発症すると、結果的に蛋白漏出性腸症に陥ると言った感じになるとお考えください。。
ですので、蛋白漏出性腸症の原因を探ると言うよりは、どうして炎症性腸疾患(IBD)やリンパ管拡張症を発症してしまったのかを考える事が大切になります。
もちろん先天的な要因があったり、リンパ腫が原因の場合もありますので、言い切る事は出来ないのですが、炎症性腸疾患(IBD)やリンパ管拡張症の多くの原因は腸の炎症です。
そして、腸の炎症の原因の大半は食生活です。動物病院では炎症性腸疾患(IBD)やリンパ管拡張症は予防が出来ないと表現する事が多いですが、実際は正しい食生活が予防方法となります。




蛋白漏出性腸症の予防方法は?
蛋白漏出性腸症に陥ると血中のたんぱく質濃度が低下する為、動物病院ではたんぱく質の補給を目的に高たんぱくのフードを推奨する事が多いですが実は逆です。
そもそも蛋白漏出性腸症の根本的な原因である腸の炎症は、口から摂取したたんぱく質を腸が処理し切れなかった事によって引き起こされます。要するに腸のオーバーワークが原因で、その原因はたんぱく質の過剰摂取であると言う事です。
ですので、摂取するたんぱく質の量を制限する事はもちろん、摂取する回数を制限する事も大切です。また、腸がたんぱく質の処理をしやすいように消化酵素(たんぱく質分解酵素)を補給する事も重要です。更に、腸の環境を整える目的で乳酸菌の摂取もおすすめです。
まとめますと、たんぱく質の過剰摂取にならないように適度なたんぱく質含有量のフードを量や回数を与え過ぎず、もちろん間食は控えて、消化酵素と乳酸菌の補給が蛋白漏出性腸症の予防方法となります。
経験上、蛋白漏出性腸症や炎症性腸疾患(IBD)、リンパ管拡張症でお悩みの場合は、置きエサで食事量を制限せずに与えていたり、高たんぱくなグレインフリーフードを与えていたり、フードに肉類のトッピングをしていたり、おやつやご褒美を与え過ぎていたり、手作り食を与えていたりするケースが多いです。くれぐれもご注意ください。


ネットの情報を鵜呑みにしないで!
犬や猫の情報に限った事ではありませんが、インターネット上の情報は大半がデマです。悪意のあるデマもあれば、ただ単に知識不足が原因であったり、他所のサイトを真似して誤った情報を拡散してしまっているケースもあります。ですので、ステマ広告やアフィリエイト広告が当たり前になっている今の時代、どの情報が本当に信用出来るかを見極める事がとても大切となります。
あくまでも個人的な経験や感想になりますが、複数のサイトで同じような内容が重複している情報はあまり参考にはならない事が多いです。決して間違った情報ばかりとは言いませんが、極々当たり前の事が書かれていたり、今の時代には通用しない古い情報が多いように感じます。
あっちのサイトでも、こっちのサイトでも書いてあったからと言って正しい情報とは限りません。くれぐれもご注意ください。




猫の嘔吐で多いフードの吐き戻しについて。
猫の食後の吐き戻しについて調べると、「フードが合わない」「季節の変わり目」「食物アレルギー」「粒の形状が原因」「早食い」などが多く指摘されています。
ですが、全て間違いです。答えは単純で「食べ過ぎ」です。一度に食べる量が多かったり、少量をダラダラと食べていたり。例えば下記のようなケース。
日頃から置きエサでダラダラと食べさせており、好き嫌いが激しいので他に好んで食べるフードが無いか探す事に。目に留まったフードをサンプルで取り寄せて、置きエサで食事をさせている合間に試してみると、思いのほか喜んで食べてくれたと思った矢先に吐き戻しを。
それまで置きエサをしていたフードがチキン主体であったのに対し、今回試したフードが魚主体であった場合には「魚が合わなかったのかな?」「粒が大き過ぎたのかな?」「何か身体に合わない原材料が含まれているのかな?」などと勘違いをして、そのフードは我が子には使う事が出来ないと思い込んでしまいます。




食べた直後の吐き戻しの原因は食べ過ぎ!
あれこれと吐き戻しの原因を考えてしまいがちですが、結局は食べ過ぎです。置きエサの合間にサンプルで取り寄せたフードを与えると言う事は空腹時では無いケースが殆ど。また、サンプルで取り寄せて試すと言う事は今までに食べた事が無い目新しいフードと言う事で、好き嫌いの激しい子でも喜んで食べる事が多いです。
その結果、置きエサをしているフードを少し前に食べ、そのフードがまだ消化されておらず胃の中に残っている状態でサンプルのフードをそれなりの量を食べると高確率で吐き戻しをします。
また、胃の中が空であっても、目新しいフードと言う事で喜んで量を食べ過ぎると吐き戻しをしやすいです。その量がパッケージ記載の給与量の目安以下の量であったとしてもです。
よって、食後のフードの吐き戻しを予防する為には、食前は胃が空になるように食事の回数を朝晩2回に限定し、一度に食べさせる量もパッケージ記載の量を鵜呑みにせずに、食後に吐き戻しをしない量に調節してあげてください。
吐き戻し軽減フードのようなくだらないネーミングの製品も見かけますが、そんな物は必要ありません。粒の形状や原材料が合わないとかも関係がありません。
本当に身体に良いフードを正しい方法で食べさせれば食後にフードを吐き戻しするような事はありません。間違った情報を信用し過ぎないようにお願いします。


何ひとつ良い事はありません!
当コラムではしつこく何度も何度もうったえ続けておりますが、犬猫にとって置きエサは何の役にも立ちません。良い事など何ひとつありません。
改めて置きエサとはどのような食事を指すかと言いますと、1日の食事の回数を定めずに常にフードが入ったお皿を出しっぱなしにする事です。
しかしそれだけではありません。1日の食事回数を定めていても、食べ残しを30分でも放置していれば置きエサです。また、一度食べ出した後にフラフラとどこかへ行ってしまい、再度戻って来て食べる事が出来る環境も置きエサになります。
ですので、口をつけたお皿の中身がどれだけ残っていようが、一度でも食べ止めた時点でお皿は下げないといけません。更に言うと、お皿の中身を確認しに来たにも関わらず、一口も食べずにどこかへ行ってしまった場合もお皿は下げてください。その後に戻って来てもお皿を再度差し出してはいけません。
「そんなの厳し過ぎる・・・。」と思われるかもですが、これをするしないとでは後々に大きな差が生じて来るのです。




置きエサによるデメリットは?
置きエサをする事によるデメリット。真っ先に思い浮かぶのが、胃が空っぽにならず空腹時間を保てない事による尿のアルカリ化です。
尿のアルカリ化は慢性的な膀胱炎や尿路結石の原因となります。原因が不明と言われる猫の特発性膀胱炎の原因もほぼ置きエサです。ストルバイト結石やシュウ酸カルシウム結石の原因にもなります。
その他にも体重管理が出来ず太らせてしまう事による猫の糖尿病や犬のヘルニアや関節炎、口内炎の悪化、慢性的な下痢や便秘、皮膚の炎症、腎臓への負担などなど言い出すとキリがありません。
あとはフードの選り好みや好き嫌いの原因にもなります。
「このフードしか食べない」や「製造ロットが違うと食べない」「少量ずつしか食べない」「同じフードを続けると食べない」「一度に沢山食べさせると吐く」「水をあまり飲まない」「缶詰などのウエットフードを食べない」なども置きエサが原因となります。食事回数が多過ぎたり、ご褒美などの間食の回数が多過ぎるのも置きエサと同じデメリットが生じます。




長生きして欲しいなら徹底して!
「1日でも長く一緒に居たい!」誰もが同じ気持ちだと思います。その為にとても重要になるのが「何でも食べる子に育てる」と言う事。「粒が大きいと食べない」「チキンは食べない」「お皿から食べない」「一度にまとめて食べない」などの原因は間違った食生活です。
食事は1日2回、食べ残しがあってもお皿は直ぐに下げる。間食を与えない。これを徹底するだけで何でも食べる子になります。また、多くの方が沢山の量を食べさせないといけないと思い過ぎ。パッケージに記載されている量を食べないと栄養不足になると思い込んだり、インターネットで調べた必要摂取カロリーを厳守しようとしたり。結果的に太らせてしまっているケースが多いです。
と言う事で、今回が今年最後のコラムとなりますが、来年も引き続き置きエサ撲滅運動を続けていきたいと思います。
置きエサや1日3回以上の食事、多過ぎる間食は健康長寿の妨げとなります。可愛いからこそ与えない。大切だからこそ食べさせない。とても大切です。
来年もどうぞ宜しくお願い致します。良いお年をお迎えください。


そもそも涙やけと食物アレルギーは・・・。
小型犬の飼い主様のお悩みとして多いのが「涙やけ」。もちろん中型犬や大型犬でも涙やけは起こり得るのですが、チワワやマルチーズ、シーズー、プードルなどの飼い主様がお悩みになられるケースが多いです。
そのような際にインターネットで犬の涙やけについて調べると、アレルゲンを排除した食事が大切と言ったワードが散見しますが、そもそも涙やけと食物アレルギーは関係がありません。
食物アレルギーとは、ある特定の物質(食材)に対して、免疫機能が過剰に反応をして引き起こされる症状を指しますが、食物アレルギーによって涙の量が増えると言う事はありません。




お肉の種類なんて関係がありません!
涙やけが食物アレルギーとは関係が無いと述べましたが、そもそも食物アレルギーとお肉の種類もほぼ関係がありません。
アレルギー検査で鶏肉や牛肉にアレルギー反応があったと言う方もおられるかと思いますが、アレルギー検査の結果は決して「正解」ではありません。陽性が出た食材であっても、その食材がアレルゲンとは限りません。
更に言うと、犬や猫に食物アレルギーはほぼありません。食物アレルギーと似た症状が出る場合はありますが。
皮膚を痒がる、脱毛がある、軟便が続く、嘔吐が多いなどの原因が食物アレルギーである可能性は極めて低いです。もちろん涙やけも。
また、それらの症状でお悩みになられている犬猫の多くが「フードを食べない」や「好き嫌いが多い」「食が細い」などと言ったお悩みも抱えているケースが多いです。




フードをあれこれ探す前にまず!
愛犬の涙やけでお悩みの際は、インターネットでドッグフードを探し回る前に、まずは間食を一切与えないようにして、朝晩2回の食事の徹底をお願いします。
また、どのようなドッグフードを与えるにしても、消化酵素の補給を忘れないようにお願いします。消化酵素が不足する事によって、涙やけや皮膚疾患、下痢や嘔吐などの症状に繋がります。
朝晩2回の食事の徹底、間食の排除、消化酵素の補給によって腸内環境は改善に向かいます。そして「フードを食べない」や「好き嫌いが多い」「食が細い」などと言ったお悩みも無くなります。それだけで涙やけが改善するケースも多いです。
「○○は涙やけに良いと聞いたから」とか「●●は涙管の詰まりを解消するらしい」などの情報は無視をして、まずは余計な物は与えずに、規則正しい食生活を徹底する事をお心掛けください。
涙やけに限らず、お悩みがある時ほど色々と試したくなるお気持ちは分からなくはありませんが、まずはシンプルに。
それでも症状が改善する気配が無ければ是非ご相談ください。
決して、「涙やけが治ったドッグフード●選」や「涙やけ対策におすすめのドッグフードランキング」などのアフィリエイトサイトやステマサイトの情報を鵜呑みにしないようにお願いします。


その情報は正しいのか?!
犬猫共にこの内容のお問い合わせやご質問が非常に多いです。

「ストルバイト用の療法食を与えていますが、与え続けるとシュウ酸カルシウムの結石が出来るのでは無いかと心配です。大丈夫でしょうか?」

この内容のお問い合わせが多い原因は、動物病院やインターネット、書籍などで語られる「ストルバイトの原因は尿のアルカリ化」「シュウ酸カルシウムの原因は尿の酸性化」「ストルバイト用の療法食は尿を酸性化させる」この3点となります。
この3点の内容が正しければ確かにストルバイト用の療法食を与え続ける事によってシュウ酸カルシウム発症のリスクが高くなる事になります。
なので、今回はこの3点の内容が正しいかどうかを考えていきたいと思います。




間違った情報を鵜呑みにしない!
まずは「ストルバイトの原因は尿のアルカリ化」についてですが、これは当コラムでも何度も説明をしておりますが正しい情報です。(参考コラム ●ストルバイトの原因と予防について。膀胱炎も。 第一章
大半が間違った食事の与え方や乱れた食生活が原因で尿がアルカリ化してストルバイトを発症します。
次に「ストルバイト用の療法食は尿を酸性化させる」については微妙な点もありますが、概ね正しい情報です。
ストルバイト用の療法食は大きく分けると次の2種類に分かれます。ひとつは、たんぱく質を制限して尿のアルカリ化を防ぐタイプ。もうひとつはタンパク質は制限せずに尿を酸性化させる成分が多く含有していたり、飲水量を増やす為に味が濃くなっているタイプ。
前者は強制的に尿を酸性化させるタイプのフードでは無い為、使用すると同時に食生活の見直しも必要になります。
後者は前者と違って、置きエサをしたり、1日に何回もダラダラと食事をさせても尿酸化成分の働きでストルバイトの予防が可能なフードになります。(この考えは当店ではおすすめしておりません。)また、このタイプのフードは尿酸化成分を摂取するにはフードを食べて貰わないと話にならない為、嗜好性を良くする目的で高たんぱく質になっているケースが目立ちます。従いまして、両者共に尿を酸性化する働きはあると言う事です。
最後に「シュウ酸カルシウムの原因は尿の酸性化」についてですが、これは間違いです。シュウ酸カルシウムは尿のpHとは関係がありません。アルカリ尿でもシュウ酸カルシウムの結石は作り出されます。この点を勘違いしている人が非常に多いです。
と、言う事はストルバイトの療法食はシュウ酸カルシウムの原因にはならないと言う事でしょうか?




pHは関係無いが注意は必要!
ストルバイトの療法食はシュウ酸カルシウムの原因になるかですが、答えは「なる」です。
但し、それはストルバイトの療法食に限った事ではありません。そもそもシュウ酸カルシウムの原因はたんぱく質の摂取過多や脂質の摂取過多、食事そのものの摂取過多が原因となります。
ストルバイトの療法食の中には、たんぱく質を制限している代わりに脂質を多く含むフードがあります。このようなフードを食事の回数や量を定めずに置きエサ状態で与えていると、高確率で脂質の摂取過多となります。
何故、脂質の摂取過多がシュウ酸カルシウム発症のリスクを高めるかですが、改めてシュウ酸カルシウムの原因についてまとめますと、食事に含まれるシュウ酸は本来、腸管内でカルシウムと結合して排泄されます。
しかし脂質を多く摂取する事で、腸管内で脂質とカルシウムが結合してしまい、シュウ酸と結合するはずのカルシウムが欠乏し、シュウ酸が便と一緒に排泄されずに尿中に流れてしまいます。その排泄されずに流れ出たシュウ酸が尿中でカルシウムと結合して出来るのがシュウ酸カルシウム結石です。
よって、シュウ酸カルシウム結石の予防には、シュウ酸と脂質の摂取を制限する事が大切です。また、動物性たんぱく質の過剰摂取は尿中のシュウ酸増加に繋がるので要注意です。
ですが、置きエサをして無制限に食べる事が出来る環境を作っていたり、一日に何度も食事を与えたりするとシュウ酸も脂質も摂取過多となります。
特にストルバイト予防の脂質を多く含むフードや、嗜好性を良くする目的でたんぱく質を多く含むフードを量を制限せずに与え過ぎると、尿のpHは関係無くシュウ酸カルシウムの結石が出来やすくなります。
結局は、どのようなフードを与えるにしても、置きエサをしたり、欲しがるからと言って何度も食事を与えたりはせずに、しっかりと適量を見定めて規則正しい食生活を行っていただく事が大切です。
あと、結石予防を目的とした「pHバランス水」のような製品がありますが、あんなのは何の役にも立ちません。ただのクソ高い水です。飲み水と結石は関係がありません。騙されないようにご注意ください。


ペーストやスープは与えてはダメ!
怒りが収まらない状態で書き出しておりますので、不適切な言葉遣いになっている場合はご容赦ください。
当コラムでは以前からペーストタイプのおやつに対し何度も苦言を呈してまいりました。あのような製品は犬猫の健康を阻害する要因にしかならないと。水分補給を名目にしたスープ製品も同じ!
ご利用になられた方はお分かりになられると思いますが、あのような製品を与えると日に日に主食の食べが悪くなります。結果、主食は置きエサでペーストタイプのおやつやスープでお腹を満たす生活に。
ですので、どれだけ巷で人気を博していようが当店では一切販売を行っておりません。もちろん今後も取り扱いを行うつもりは毛頭ありません。
今まではそれだけをお伝えしていれば気が収まっていたのですが、最近は愛犬愛猫の病気で悩む飼い主をターゲットにしたかのような悪徳商法が目立つようになって来ています。そのようなクソ商品を製造販売する会社を絶対に許してはいけません!




腎臓病に効果的なおやつなんて無い!
最近になって急増しているのが、「腎臓サポート」や「下部尿路ケア」「食欲サポート」など、体調不良でお悩みの犬猫の飼い主をターゲットにしたクソ商品。
効能が期待出来る成分を少量だけ配合して、「●●サポート」などと謳っていますが、製品を構成する主な内容が「反●●サポート」になっています。
更に過剰な「水分補給に最適!」のアピール。何度も言いますが真水以外の水分は水分補給とは言いません。栄養補給です。それも無駄な栄養の。
その無駄な栄養の補給は腎臓や肝臓、下部尿路、食欲のケアやサポートには明らかに悪影響です。
またそのような粗悪な製品のパッケージには決まって「獣医師が開発」とか「獣医師監修」「日本産無添加」などが記載されておりますが、そんな事はどうでも良いのです。
重要なのは、その製品が食事療法に役立つかどうか。病状の好転に繋がるのかどうかです。大したエビデンスも無いのに「●●ケア」や「●●サポート」と謳うのは詐欺と同じです。
嗜好性を高めたそれらの製品を摂取する事で食生活は必ず乱れます。結果、病状は悪化します。




売れている物が良い製品とは限らない!
今の時代、沢山のお店があります。沢山のネットショップがあります。その中には良い製品を扱っている優良店も沢山あります。
ですが、残念ながらほぼ全てのお店がペーストタイプやスープタイプの製品を販売しているのが現状です。
消費者の皆様の視点では、「あの店も売っているから安心な製品」「多くの店が扱っているから良い品」となりやすいと思います。
また、「人気商品と書いているから効果がある」「レビューの内容が良いから信用出来る」「多くの人が購入しているから大丈夫」などのお思いになられるお気持ちも充分に理解は出来ます。
しかし実際には売れている製品が良い品とは限りませんし、レビューの内容が良いから信用出来るとも限りません。(当店にもレビュー代行サービス業者からの偽レビュー代行の勧誘が増えています。)
ですので、謳い文句や宣伝文句に惑わされる事無く、本当にその製品が愛犬や愛猫の健康維持や体調の改善に必要か否かを見極めた上で、ご利用いただくようにお願いします。
また、大した知識や理念も無く、病気の犬猫を餌食にするクソ商品を製造販売する会社を儲けさせないようご協力をお願いします!


猫の3大疾患のひとつ。
猫にとってとても恐ろしい病気の代表格は慢性腎臓病ですが、その次に多いのが甲状腺機能亢進症です。
そしてもうひとつ注意が必要な病気が肥大型心筋症。もちろんそれら以外にも、リンパ腫や糖尿病、尿石症など注意が必要な病気は沢山ありますが。
この肥大型心筋症の恐ろしい点が、他の病気とは違って症状が出にくい事です。そして一般的な診察では見つかりにくいと言う点も非常に厄介です。
例えば、慢性腎臓病であれば、嘔吐や多飲多尿などの症状があり、体調不良を理由に血液検査を実施すれば診断が可能ですし、甲状腺機能亢進症の場合は、食欲があって元気なのに体重が落ちるなどから、ホルモン測定の検査をすれば発覚します。
しかし肥大型心筋症は殆ど症状が出ません。心臓疾患であるにも関わらず聴診での雑音が確認されない場合も多い為、病状が悪化して症状が見られるようになった時には既に命の危険が。なんて事もあります。




肥大型心筋症とはどのような病気?
肥大型心筋症は簡単に言えば、心臓の筋肉(壁)が分厚くなって、心臓内の空間が狭くなってしまう病気です。
コップも同じ大きさであれば、厚みが薄い方が容量が大きくなり、分厚くなると中身があまり入らないですよね。
それと同じで心臓の筋肉(壁)が分厚くなる事で、取り込める血液の量が少なくなり、全身に十分な血液が送れなくなってしまいます。
その結果、肺水腫や血栓塞栓症などに繋がる恐れがあるのですが、先にも述べました通り目立った症状が出ないのが肥大型心筋症の怖いところです。
その為、元気に見えていた子が突然亡くなるケースがありますが、この多くが肥大型心筋症が原因となります。
そんな恐ろしい病気である肥大型心筋症ですが予防法はあるのでしょうか?




肥大型心筋症の予防法は?
結論から申し上げますと、肥大型心筋症に予防法はありません。また、治療法もありません。
ですが、肥大型心筋症によって引き起こされる可能性がある肺水腫や血栓塞栓症などの予防は投薬によって可能な場合があります。
目立った症状が出ない為、初期段階での発見は非常に難しいですが、咳をしていたり呼吸が速くなっているなどの症状があれば、まずは主治医に相談をなされる事をおすすめ致します。もしくは、定期的に画像診断で心臓の状態を確認をしておくのも良いでしょう。
また、当たり前の事ですが、体重超過(肥満)は心臓に大きな負担を掛けてしまいます。太っているから肥大型心筋症になる訳ではありませんが、肥大型心筋症を患った際に、太っているか否かでは大きな違いが生じます。
健康な時から体重には注意をして、食事をしっかりと管理する事は飼い主として最低限の責任です。
「欲しがるから与える」は愛情とは言えません。我慢させる事も愛情です。くれぐれもご注意ください。


肝臓の数値が高い時は。。。
若い小型犬に多いのですが、肝臓の数値が高い子。
原因は飼い主様の甘やかしが大半です。殆どが同じパターン。
まず初めに陥る失敗が、トイレのしつけによるご褒美の与え過ぎです。小型犬の多くは室内でトイレをします。トイレで排尿をする度にご褒美でおやつを与えます。
トイレ成功のご褒美を1日に数回貰えるので、食事の時間にはあまりお腹が空いていないのと、食事(フード)よりもご褒美の方が美味しいので、食が進まなくなります。
その結果、食事の嗜好性をアップさせる目的でボイルした鶏肉を混ぜたり、フリーズドライの製品をほぐしてトッピングするようになります。結果的に食べるようになってくれたとしても、食生活は高たんぱく質に。
このたんぱく質に偏った食生活が肝臓の数値が上昇する原因です。高たんぱく質な食生活は胆泥症や胆石症などの原因にもなりますのでくれぐれもご注意ください。




腎臓の数値が高い時は。。。
腎臓病と言えば猫。と言ったイメージが強いですが、もちろん犬にも多い病気です。
「腎臓は消耗品」とも言いますが、悪くなれば治る事はありません。若い頃から如何に無駄遣いをしないかが大切です。
ここで言う無駄遣いとは何かと言うと、たんぱく質の摂取過多による腎臓のオーバーワークです。
若いから大丈夫と過信して、おやつを与え過ぎたり、お肉をたっぷりとトッピングをした食事を与えたりしていると、腎臓は早々に悲鳴をあげる事になります。
肝臓は数値が上昇してからでも間に合いますが、腎臓はそうはいきません。如何に若い頃から腎臓に負担を掛けない食生活が出来ているか否かで結果は大きく変わってきます。
好き嫌いをして食べないからと言って与えるフードを悩む前に、何故好き嫌いをするのか、どうして食べないのかをしっかりと考え直す事が大切です。




膵臓の数値が高い時は。。。
犬に多いのが急性膵炎。食事療法としては低脂肪食が推奨される事が多いですが、結局はバランスです。
低脂肪だからと言って高たんぱくではいけません。良くある間違いですが、急性膵炎の食事療法の際に、低脂肪のフードに鶏のささみや馬肉をトッピングするケース。
鶏のささみや馬肉が低脂肪の為、低脂肪であれば大丈夫と言う認識かと思いますが、たんぱく質の過剰摂取も膵臓に負担が掛かります。
膵臓の消化液の分泌を最小限に抑えられる食生活が急性膵炎にとって必要は食事療法となります。
その為には低たんぱく・低脂肪の食生活、更には食物酵素(消化酵素の経口摂取)が大切となります。如何に膵臓を休ませてあげられるかがポイントなります。

以上の事から、肝臓・腎臓・膵臓全てに対して高たんぱくな食生活は要注意となります。
但し、全ての高たんぱくフードを否定している訳ではありません。
高たんぱくフードを与える際は、たんぱく質の過剰摂取にならないように、必要最低限の給与量を意識してご利用いただく事をおすすめ致します。
逆に低たんぱくフードでも量を与え過ぎれば、結果的にはたんぱく質の過剰摂取になってしまいます。与える量の見極めも大切です。


尿のアルカリ化は膀胱炎やストルバイトの原因に!
当コラムでは何度も説明をして来ましたが、高たんぱく過ぎる食生活や、置きエサをしたり間食の与え過ぎなどのダラダラした食生活は尿がアルカリ性に傾き、膀胱炎やストルバイトの原因となります。
その為、繰り返す膀胱炎やストルバイトを解消する為には、間食は与えずに朝晩2回の食事を徹底する事が何よりも大切です。
また、「食いつき抜群!」や「犬(猫)本来の食生活!」のような謳い文句に釣られて、「お肉たっぷり!穀物不使用のグレインフリーフード!」を使用してしまいますと、食後の尿のpHが大幅にアルカリ性に傾き、1日2回の食事を徹底していても、膀胱炎やストルバイトを繰り返す可能性があります。
犬猫の健康を維持する為にはたんぱく質の摂取が大切ではありますが、頻繁や過度な量のたんぱく質の摂取は尿のアルカリ化に繋がりますのでくれぐれもご注意ください。




尿のpHを測定するタイミングは?
膀胱炎を繰り返したり、ストルバイト発症の経験がある犬猫の飼い主様の中には、ご自宅で尿のpHを計測している方も多いかと思います。その際に、1日2回の食事を徹底している且つ、適切なフードを食べせているのに、pHが思うような数値(弱酸性)を保ってくれない場合があります。
もちろん1日中、弱酸性を保つ必要は無いのですが、24時間の中で何度かは弱酸性を維持して欲しいところです。
ここで少し補足ですが、食後一時的に尿がアルカリ性に傾くのは大きな問題ではありません。食後のpHが7.5程度まで上昇していても大丈夫です。この時点で過度な心配は不要です。ですが、次の食事を与える直前の空腹時にはpHが弱酸性に戻って来て欲しいのです。
その為には、必要以上に尿がアルカリ性傾くような高たんぱくなフードを与えない事と、1日2回の食事を徹底し、空腹時間をしっかりと確保する事が大切です。
ですので、ご自宅での尿のpHの測定の際は、食後のアルカリ性に傾いているタイミングでは無く、出来る限り食前の空腹時でお願いします。また、病院で尿検査を受ける際も弱酸性を維持しているべき空腹時の尿で検査を受けるようにお願いします。




尿のpHが思うように下がらない時は!
適切な内容のフードを与え、1日2回の食事を徹底し、しっかりと空腹時間を確保しているにも関わらず、尿のpHが弱酸性に下がらない時は思い切って食事を抜いてください。
頻尿や血尿の症状が無ければ、頻繁に尿のpHを測定する必要はありませんが、膀胱炎やストルバイトが気になる時に尿のpHを測定し、食前にpHが高ければ1食~2食程度の食事を抜く事でpHは下がります。
尿のpHを測定していなくても、いつもよりも頻繁にトイレに出入りしていたり、排尿の姿勢になっても尿が出ていない状態が続いていれば、思い切って食事を抜いてください。1食や2食程度抜いても栄養失調にはなりませんのでご安心ください。それよりも尿のpHは食べなければ下がりますので、食事を抜く事でpHが下がり症状の緩和に繋がります。気になる場合は是非一度お試しください。


そんなすぐには食欲は低下しない!
猫の代表的な疾患である腎不全(慢性腎臓病)。長生きすれば全員が患うと言っても過言ではありません。
言い方が正しいかは分かりませんが、腎不全(慢性腎臓病)を患ってから、その後にどのような生活を行うかで余命が違ってきます。
飼い主とすれば当然1日でも長く一緒に居たいと思うはずです。その為に必ず必要となってくるのが食事療法です。食事療法と言ってもそれほど難しく考える必要はありません。
腎臓への負担が軽減された内容になっている腎臓ケアのフードを食べさせるだけです。
しかし!!!!その簡単な事が出来ない猫(原因は飼い主様)が非常に多いです。その原因は若い頃からの置きエサなどによる乱れた食生活です。
食欲が低下するイメージの強い腎不全(慢性腎臓病)ですが、余程の末期にならないと食欲は低下しません。
腎臓ケアのフードを食べないのは食欲の低下では無く、それまで間違った食事の与え方をしてきた代償です。




サンプルを探しているようではダメ!
腎臓ケアのサンプルをご注文いただく際に下記のようなメッセージをお書き添えいただく事があります。

「愛猫が腎臓病と診断され、食べてくれるフードを探しています。」「腎臓病の猫を飼っていますが病院の療法食を食べてくれずに困っています。」「腎臓ケアのフードを差し出してもいつもフードしか食べず困っています。」などなど。

無料サンプルをご利用になられる事を否定している訳ではありませんが、愛猫が食べるフードを探す為や、食い付きの良い腎臓ケアのフードを見つける為にご利用になられるのはおすすめ出来ません。
実際にそのような事をしてもおそらくどれも食べないでしょう。もし食べたとしても初めだけ。腎臓ケアのフードに限った事ではありませんが、愛猫が気に入るフードを探す目的で色々なフードを試しても結局はどれも長続きはしません。
いつも言っていますが、「食べるフードを探す」のでは無く「探したフードを食べさせる」のです。腎臓病の猫に対しても同じです。




まずは与え方を変えないといつまでも一緒!
「探したフードを食べさせる」為に必要なのが、空腹時間をしっかりと確保する事です。
置きエサをしていたり、1日に何回も食事を与えていたり、おやつやご褒美を間食として与えていたりしてはいけません。
食事を朝晩の2回に限定し、その他の時間帯は何も与えずに空腹時間をしっかりと保つように心掛けてください。
そうすれば約12時間に1回の食事が待ち遠しくなり、食事前にはお腹が空いた状態を作る事が出来ます。
思い当たる節がある方は、まずは「これを食べさせたい!」と思えるフードをお手元にご用意ください。
そして朝晩2回お皿に入れて差し出してください。差し出したお皿の中身を見に来て食べてくれれば話は早いですが、おそらく食べないでしょう。
その後、愛猫がお皿から離れればその時の食事は終了です。一口も食べなくてもです。一食程度食べなくても心配は要りません。過度な心配から、数分後や数時間後に再度お皿を差し出すような事は絶対にしないください。
そして次の食事の時間には同じフードを再度差し出してください。またも一口も食べなくても心配は要りません。二食続けて食べなくても大丈夫です。勇気を持ってお皿を下げてください。
そして次の食事の時間。再度同じ事をすれば少しだけでも食べるはずです。
食べない事を心配するよりも、現在の体調(腎不全)に適応していないフードを食べている事を心配してあげてください!お願いします。


食欲の有無を見分ける為に!
愛犬や愛猫の体調管理にとって食欲の有無の見極めは非常に大切となります。当たり前ですが。
しかし、その食欲の有無の見極めが難しくなる食生活があります。それは置きエサです。もしくは1日に5回も6回も食事を与えている場合です。
当然ですが、置きエサをしていると、いつでも好きな時に食事を摂る事が出来ます。その為、お皿にフードをつぎ足しをしてもすぐに食べ出さないので食欲が有るのか無いのかを見極める事が出来ません。
また、1日に5回も6回も食事を貰っていると、お腹が空いていなかったり、気が進まない時は食べる事を拒否してしまいます。その為、体調が優れずに食欲が無く、食べる事を拒否しているのか、たまたま気が進まずに拒否しているのかの見極めが難しくなります。
その他にはこんな事も。




それってフードが原因で食べないの?
食欲の有無の見極めと同じような話になるのですが、置きエサをしていたり、食事回数が多過ぎたり、間食を与え過ぎたりしていると、急にいつものフードを食べなくなる事があります。
そのような場合に、多くの方がフードに原因があるとお考えになられます。
具体的な原因としては、「開封後の品質の劣化(酸化)」や「製造ロットの違いによる中身の変化」「暫く続けているので飽きて来た」「粒が小さい(大きい)ので食べにくい」などとお考えになられる事が多いです。
ですが、もしかすると体調が悪くて、いつものフードを食べなくなっているかも知れません。でも常日頃から、食べたり食べなかったりを繰り返していると、食べない原因を体調の悪化による食欲不振とは考えにくくなってしまうのです。




間食を与えずに1日2回の食事を徹底していると!
当店が推奨している1日2回の食事を徹底していると、お皿を差し出したにも関わらず食べに来ないと言う事は有り得ません。
また、フードが酸化していたり、製造ロットの違いでにおいや香りが違うからと言う事で食べないと言う事もありません。出されたフードは絶対に食べます。
と言う事は、食事の時間になっても食べに来なかったり、お皿を差し出しても食べないようであれば、間違い無く体調不良による食欲不振です。
食べない原因をあれこれ考える必要は無く「食べない=体調不良」です。
その結果、素早く受診をしたり、必要な処置をする事によって、対応の遅れを解消する事が出来ます。
特に、「猫は好き嫌いをして当然」「猫はダラダラ食べるのが普通」「猫は一気に食べる事が出来ずに少しずつ食べる」などの誤った思い込みをされている方が多くおられますが、正しい食生活を実践出来ていれば、猫もお皿を差し出した瞬間にガッツいて食べます。それもどんなフードを差し出してもです。粒の大きさや形、硬さ、においなんて関係無く何でも食べます。
フードに好きも嫌いも好みもありません。お皿が空っぽになるまで夢中になって食べます。なので、食欲が無くて体調に異変があれば直ぐに気付く事が出来ます。
とても大切な事ですので是非1日2回の食生活の徹底をお願いします。


そんな甘い事を言っていてはダメ!!!
先日のコラム「夏バテ対策の食事のご相談について」でも書きましたが、「最近は夏バテでいつものフードを食べません。」は、暑さで食欲が落ちているのが原因では無いケースが殆ど!
また他には、「生後6ヶ月頃からトッピングをしないと食べないようになり食べる量が減っています。」「10歳頃から腎臓の数値が基準値を少し上回るようになりフードの食べが悪くなりました。」「新入りを迎え入れてから自分のフードを食べなくなりました。」「同居猫が食べているフードを欲しがって自分のフードを食べません。」「トイレ成功のご褒美は食べるが食事を食べません。」などなど、言い出すとキリがありませんが、これらは決して食欲が落ちている訳ではありません。
薄々気がついている方も多いのですが、これらは飼い主様の甘やかしが原因となります。
このような事で「最近は食欲が落ちているので何か良いフードはありますか?」や「フードの食い付きが良くなるトッピングでおすすめはありますか?」のような甘い考えをしているとこの先にきっと痛い目にあうでしょう。「食べない」=「食欲が落ちている」ではありません!




先を見据えた食生活をお願いします!
当店では常々、食事は朝晩2回、食べても食べなくてもお皿は5分程度で下げて、どれだけ残していようが次の食事までは何も与えず、食べない事を心配し過ぎ無いようにお願いをしております。また、日中はお腹が空いているのが当然で、欲しがるからと言って不規則に食事を与えたりせず、食事前には飢えた状態にしてあげる事が大切であるとお伝えしています。
ですが、過去に何度か「野良犬(野良猫)では無いのに飢えさせるなんて酷い事は出来ない。欲しがっているのであれば食事を与えるのが当たり前。」とおっしゃる方がおられました。
確かにお気持ちは分かりますし、「飢え」と言う言葉が適切では無いようにも思いますが、そのような食生活を徹底していただく事によって、フードの好き嫌いが無くなり、お皿に入れて差し出したフードは何でも食べてくれるようになります。愛犬や愛猫が若くて元気な頃はその重要性に気付く事が難しいかも知れませんので、「飢え」と言う言葉が不適切に感じるのだと思います。




今日から食事療法が出来ますか?
若い頃から甘やかし、欲しがる時に食事を与え、嫌がれば別のフードに変更、好きなフードを好きなタイミングで与えていたりすれば必ず好き嫌いをするようになります。
粒の大きさによって食べたり食べなかったり、いつも食べているフードなのに、製造ロットの違いでフードの香りや味が違っただけで食べなくなってしまったりと。
そのような食生活を行っている時に、急に体調が悪くなって検査を受けた結果、今日から食事療法をしないといけなくなったらどうしますか?
栄養の摂取制限が必要になって、今まで食べていたフードを与える事が出来なくなる事なんて珍しくはありません。
そのような時に、好き嫌いをさせずに育てていれば、瞬時に食事療法を行う事が出来、病状の回復を早める事が出来たり、症状の悪化を防ぐ事が出来ます。
逆に、若い頃から甘やかして来た代償で、好き嫌いが激しくて食事療法を行う事が出来ず、食べる療法食タイプのフードを探し続けていると言う方。サンプルを取り寄せては試し、小さなサイズを購入しては食べてくれずに破棄し続け、結局はどれも食べてくれずに食事療法を行えない・・・。明日は我が身。くれぐれもご注意ください。


くだらない製品を作るな!と言いたい。。。
具体的にどのメーカーの製品なのか明言は避けますが、療法食タイプのフードを含め良質な製品を数多く製造販売しているメーカーより猫用のペーストタイプのおやつが発売される事になりました。
更に、あのテレビCMを真似するかのように「スティックから"ちゅ~"っと直接」なんて事を謳い文句として言ってみたりして・・・。良い製品を展開されているメーカーなので非常に残念です。
但し、今回のような事は決して珍しくはありません。当店が以前から取り扱いをしているメーカーからペーストタイプのおやつが発売された事は過去にもございますし、他にも「何だこれ・・・。」と言う製品もあります。
もちろんどのような製品であったとしても与え過ぎなければ、身体にとっては大きな影響は無いのですが、大半の方が与え過ぎてしまうのです。1日1回であったとしても、物や量によっては与え過ぎになります。人間も1日1回であろうが毎日ケーキを食べれば食べ過ぎですよね。
犬猫の場合はペーストタイプのおやつを1日1本食べれば食べ過ぎです。特に小型犬や猫は高確率でフード(食事)の食いつきが悪くなります。更に、ペーストタイプのおやつを与える事による懸念点としては、舐めて食べる事が出来る点と手から食べさせてもらえる事です。この2点がお皿からカリカリのドライフードを食べると言う当たり前の食生活の妨げになります。また、このような製品を使用して薬やサプリメントを与える方がおられますが、薬やサプリメントを飲ませる事が出来たとしても、肝心なフードの食いつきが悪くなって健康管理が疎かになってしまうケースが多いです。
言い出すとキリがありませんが、使用なされる飼い主様にも責任はあると思いますが、一番悪いのは製造販売するメーカーです。特に健康志向を謳うメーカーがこのような製品を作ってはいけません。と個人的には思います。

と、言う事で、当店では信用信頼出来るメーカーの製品を取り扱っておりますが、取り扱いメーカーの製品だからと言って全てを推奨している訳では無いと言う事をご理解いただけますと幸いです。




成犬用は優良でも高齢犬用は・・・。
犬も猫もある一定の年齢に差し掛かると成犬用(成猫用)から高齢犬用(高齢猫用)のフードに切り替える事が多いと思います。その際に、大半の方が今まで使用していた成犬用(成猫用)と同じメーカー(ブランド)の高齢犬用(高齢猫用)に切り替える事になるかと思います。
ですが、実はこの時にはしっかりとフードの内容を見極める必要があるのです。今まで使用していたフードに高齢犬用(高齢猫用)があるので、「これで良いのね!」と簡単に決めつけてはいけません。理由は、成犬用(成猫用)がとても良いフードであっとしても、高齢犬用(高齢猫用)も同じだとは限らないからです。
当店では、出来る限り成犬用(成猫用)から高齢犬用(高齢猫用)まで安心してご利用いただけるメーカー(ブランド)のフードを取り扱うように心掛けていますが、高齢犬用(高齢猫用)があるにも関わらず取り扱いをしていないケースがあります。他にも、取り扱いメーカー(ブランド)からグレインフリーや泌尿器ケアが発売されていても、そのフードだけ取り扱いを行っていない事もあります。
そもそも療法食を含め、フードパッケージに記載する用途名などの謳い文句には何の基準もありません。
どのような基準をクリアすれば、このような記載が出来るかなどの定義は何もありません。
ですので、パッケージ記載の謳い文句を鵜呑みにせずにしっかりと内容を吟味してフード選びをする事が大切です。
今まで使用したフードと同じメーカーだからと言って安心・信用はせずに改めて内容を見極めた上でご利用になられる事をおすすめ致します。
尚、参考までに勘違いをなされている方が多い情報で「高齢犬(猫)でもたんぱく質は必要。しっかりと摂取するように!」があります。至極当然の内容なのですが、勘違いをしてはいけないのが「しっかり」であって「たっぷり」ではありません。「高齢犬(猫)でもたんぱく質は必要。たっぷりと摂取するように!」ではありませんのでくれぐれもご注意ください。


厳しい暑さの過ごし方は?
2024年7月。めちゃくちゃ暑いですね。夏なので暑いのは当然なのですが少し暑過ぎはしませんか?
油断をすると熱中症で倒れてしまうような危険な暑さです。それは人間に限らずもちろん犬猫も同じです。
特に高齢の犬には注意が必要です。24時間クーラー生活でも良いと思います。
猫に関しては窓を開けて日照を遮ってあげればクーラーは無しでも良いと思います。ちなみに我が家はそのような感じです。
推定16歳の愛犬は24時間クーラー生活、同じく推定16歳の愛猫は家の中で過ごしやすい場所を探して移動しながら過ごしています。他にも猫がいますが、その子達も自分の好きな場所を探して過ごしています。クーラーは無しです。
但し、必ずしも猫にはクーラーが不要だとは言い切れませんのでくれぐれもご注意ください。室内の温度や日照時間などを見てご判断をお願いします。




夏バテで食欲が落ちた時には!
「最近は夏バテでいつものフードを食べません。何か良いフードはありますでしょうか?」
この時期にはこのようなご質問を多く頂戴するのですが、犬猫に夏バテはほぼありません。熱中症はありますが夏バテは無いと考えていただいて結構です。
暑さが原因で食欲が無くなっているとすれば、それは夏バテでは無く熱中症です。早急に生活環境の改善をお願いします。
また、いつものフードの食べが悪い原因が他にあるにも関わらず、暑さのせいにしているケースも目立ちます。
例えば、暑がっているのにあまり水を飲まない事を心配して、氷を舐めさせたり、味の付いたスープを飲ませたり、水分補給を名目に果物を与えたりなどなど。水分補給と言ってペースト状のおやつを与える方も多いです。
結局、いつものフードの食べが悪くなっている原因は夏バテでは無く、食生活の乱れによる事が大半です。
余計な事をせずに朝晩2回の食事をきっちりと与えていれば夏だからと言って、いつものフードを食べなくなるような事にはなりません。
実際に我が家の犬猫達はこの猛暑の時期でも食欲旺盛です。それも結構な老犬・老猫ですから。




夏場の甘やかしを後悔しないように!
特に犬に多いのですが、夏場の甘やかしの代償として、その後に体調を崩す子を多く見て来ました。
例えば、子供さんがおられるご家庭では学校や幼稚園が夏休みの為、毎日家でお昼ご飯を食べます。その際に、いつもなら何も食べる事が出来ない犬猫達にもおやつを食べさせたり、いつもは与えないお昼ご飯を食べさせたり。
その他にはカップ型のアイスクリームを食べる際に蓋の裏を舐めさせたり、スイカやブドウを少しのつもりで与えてしまったりと。
その結果、夏休みが終わる頃には体重が増え過ぎてしまったり、1日3回の食事が当たり前になってしまって膀胱炎や尿路結石を患う事に。
夏は暑くて食欲が落ちると言いながら体重は増えているなんて事も珍しくありません。
夏場の甘やかしにはくれぐれもご注意ください。


避妊去勢済み用フードとは?
避妊去勢済み用フードとは、避妊手術や去勢手術後の肥満防止対策として販売されているフードとなります。
全ての避妊去勢済みフードが該当するわけではありませんが、その多くが肥満防止を目的に低脂肪となっており、その反面たんぱく質の含有量が多くなっています。確かに脂肪分の摂取を控えて、その代わりにたんぱく質の摂取比率を高めれば、引き締まった身体作りが出来るとは思いますが、その条件としては適度な食事量を守る事が大切です。
当たり前の事ですが、太りにくいとされる高たんぱく・低脂肪の食事でも食べ過ぎれば太りますからね。
また、高たんぱく・低脂肪のフードの食べ過ぎには、もうひとつ大きな注意点があります。




避妊去勢済み用フード使用時の注意点!
高たんぱく・低脂肪の避妊去勢済み用フードを与える際の大きな注意点が尿のアルカリ化です。
基礎知識として、食べ物を食べると胃酸が分泌され、その影響で尿はアルカリ性に傾きます。特に食べ物に含まれるたんぱく質の分解に胃酸を多く必要とする為、たんぱく質の多い食事を摂れば胃酸の分泌量も多くなり、尿のpHは大きくアルカリ性に傾きます。
尿がアルカリ性に傾くと言う事は、膀胱炎やストルバイトなど下部尿路疾患の発症リスクが高くなりますので、避妊手術や去勢手術後に避妊去勢済み用フードを与える時には注意が必要となります。
避妊去勢済み用フードを適切な量でご利用いただいていれば問題ございませんが、置きエサをして好きな量を食べる事が出来る環境を作ったり、1日3回以上の食事や間食を与えたり、パッケージに記載の量や摂取カロリーを意識し過ぎて与えたりしますと、高確率で膀胱炎やストルバイトを患う事になります。




そもそも避妊手術や去勢手術が原因では太りません!
多くの方が勘違いをなされていますが、避妊手術や去勢手術をしたからと言って太りやすい体質になる訳ではありません。失礼ながら勘違いをしている獣医師も多いです。なので、避妊手術や去勢手術後の食事指導で獣医師から「太らせないように低カロリーのフードを与えるように!」と言われた方も少なくは無いと思います。
確かに避妊手術や去勢手術をすると食欲は手術前よりは増します。だからと言って、勝手には太りません。当たり前ですが、食べ過ぎなければ太りません。
特に去勢手術前の雄犬は発情の影響で食が進まない事が多く、術後の食欲増加を喜んで食べ物を与え過ぎるケースが多いです。
結局は食欲が増した愛犬や愛猫の催促に負けて食べ物を与え過ぎるから太るのです。これが避妊手術や去勢手術をすると太ってしまう子が多い原因です。
ですので、避妊去勢済み用フードを使用しなくても、通常のフードであっても与え過ぎなければ太る事はありません。
与えるフードの量はパッケージ裏面や摂取カロリーを気にし過ぎず、適正な体重が維持出来る最低限の量を与えていれば大丈夫です。
それがパッケージ記載の給与量の目安の半分以下の量であってもです。ご安心ください。


腎臓ケアのキャットフードとは?
猫の代表的な疾患である腎臓病(腎不全)ですが、長生きすれば全ての猫が患うと言っても過言ではありません。逆に言うと、長生きをする為には如何に腎臓病と上手く付き合っていくかが重要となります。その為には食事のコントロールが何よりも大切となります。
では実際にどのような食事を与えれば良いかですが、まずは腎臓の健康に配慮がされたキャットフードを与える事になります。いわゆる腎臓ケアのキャットフードです。腎臓ケアのキャットフードは腎臓に負担が掛かりにくいようにたんぱく質やリンの含有量が調整されています。但し、たんぱく質が制限されている代わりに脂質が多く含まれていますので、この点に注意をして与える必要があります。




腎臓ケアのキャットフードはいつから?
このご質問を非常に沢山多く頂戴します。確かに、血液検査等の結果で明らかに腎臓の状態が悪化している場合は、直ぐにでも腎臓ケアのキャットフードをお与えいただく必要がありますが、「血液検査の結果は正常値の範囲だけど以前に比べると気になる。。。」「検査結果は良好だけど年齢が年齢なだけに心配で・・・。」などの場合です。
答えは、賛否両論があるかと思いますが、当店の考えとしては「気になる(心配になる)なら腎臓ケアのキャットフードを今すぐにどうぞ!」です。
腎臓ケアのキャットフードは決して腎臓病を発症してからでしか与える事が出来ない内容ではありません。もちろん全ての腎臓ケアのキャットフードに対して言っているのでは無く、あくまでも当店が取り扱っている腎臓ケアのキャットフードに関してです。
「気になるなら」「心配になるなら」今すぐにでも腎臓ケアのキャットフードをご利用ください。但し、下記の条件付きです。




予防として腎臓ケアのキャットフードをご利用いただく条件は?
先にも述べましたが、腎臓ケアのキャットフードはたんぱく質が制限されている代わりに脂質が多く含まれています。この理由は、たんぱく質を制限した食事を摂らないといけませんが、摂取エネルギーはしっかりと確保する必要があるからです。たんぱく質の代わりに脂質を多く摂取してエネルギーを得ようと言う考えです。
しかし、脂質を多く含むと言う事は太りやすいフードであると言う事の認識が必要です。それなのに、置きエサをして好きなだけ食べる事が出来る環境を作ったり、食事の時間以外なのに欲しがるからと言って与えたりすれば必ず太ります。ですので、腎臓病の予防として腎臓ケアのキャットフードを与える際は、朝晩2回の食事を徹底して、体重が増え過ぎない程度の量、痩せ過ぎない程度の量をしっかりと見極めて食事を与える必要があります。決して欲しがるからと言って沢山は与えないでください。これが予防として腎臓ケアのキャットフードをご利用いただく条件となります。それが出来ない場合、量を多く与えたい場合は予防としてのご利用はお控えください。
また、初期の腎臓病では食欲の低下は起こりません。腎臓ケアのキャットフードを食べないのは、今まで甘やかして来た且つ、だらしない食生活を行ってきた代償です。但し、決して手遅れではありません。食べない事を心配し過ぎずに1日2回の食事を徹底してください。そうすればどの腎臓ケアのキャットフードでも喜んで食べてくれます。それが腎臓病と上手く付き合っていく唯一の方法です。


弱みにつけ込む製品には注意!
犬猫の飼い主様が気にするキーワードの代表格である「歯磨き」「歯石」「口臭」。
インターネットや雑誌を見ていると、このようなキーワードを使用して宣伝をしている商品を良く見かけます。確かに愛犬や愛猫のお口周りのお手入れに悩んでいる飼い主様は多く、「歯磨きをしたいけど嫌がるから。。。」「歯磨きは出来るけど歯磨き粉をつけた方が良いのかな?」と当店にも沢山のお問い合わせを頂戴致します。
また、このようなキーワードを使用して宣伝している商品の多くは、嘘か本当か分かりませんが「たった1週間で驚きです!」や「嫌がるかと心配でしたが喜んで舐めています!」などの体験談のような記事が載っています。更に、「獣医師も絶賛!」のような獣医さんお墨付き記事も掲載がされている事が多いです。
日頃から愛犬・愛猫のお口のお手入れにお悩みの方にとってはとても興味深い内容になっていると思います。




効果・効能は大切。でもそれ以上に大切なのが?!
歯磨き関連の商品に限った事ではありませんが、その製品を使用した結果の効果や効能よりも大切になるのがデメリットの部分です。特に歯磨き関連の商品は犬猫の場合は全て飲み込みますので、うがいで吐き出す事が出来る人間よりも注意が必要です。
特に、製品の安全性をアピールする「香料無添加」「着色料無添加」「酸化防止剤無添加」「合成保存料無添加」などの謳い文句にも注意が必要です。
当然の事ですがそれら以外にも添加物は沢山あります。全ての添加物が危険なわけではありませんが、余計な成分である事の認識は必要かと思います。
いかに危険性が低い添加物と言えども、小さな体の犬猫が毎日摂取する事によるデメリットは無視出来ないと感じます。




機能性を謳ったおやつにも要注意!
歯磨き関連の商品以外には、機能性を謳ったおやつにも注意が必要です。
代表的なのが「腎臓ケアスナック」や「肝機能ケアスナック」です。腎臓や肝臓に良い効果をもたらす成分が含まれているような事が書かれていたりしますが、そもそもその製品を食べさす事で腎臓や肝臓に負担を掛けるような製品を多く見かけます。
その有効成分の摂取でどの程度の効果効能が見込めるかは分かりませんが、有効成分以外の原材料が腎臓や肝臓に負担を掛けてしまっていれば、まさに本末転倒です。
それ以外には乳酸菌サプリメントや乳酸菌を含む腸内ケアスナックなども同様です。腸内環境の改善が期待出来る乳酸菌を摂取する為に、腸内環境を悪化させるような原材料を同時に摂取していれば意味がありません。
くれぐれもご注意ください。